みなさまこんにちは。
昨年、フックを買うためにたまたま立ち寄った釣具店で、いまやもう販売されていないはずのヤマガブランクスのブルーカレント85TZ/NANO All-Range 75周年限定バージョンを見つけてしまい、つい勢い余って購入してしまいました。
その後、1年以上使用してみましたので、今回は購入時のファーストインプレッションに加えて、このロッドの実釣インプレッションをお送りしたいと思います。
どんなロッド?
ブルーカレントTZ/NANOは、ヤマガブランクスのライトゲームロッドシリーズである「ブルーカレント」の最上位機種。
チタンフレームトルザイトリングにNANOテクノロジー採用ブランクスを組み合わせているため、トルザイトを表す「TZ」とナノテクノロジーを表す「NANO」を名前に冠したロッドシリーズです。
今回購入した85TZ/NANO All-Rangeは、登場が2016年と同シリーズ中ではかなり早くから売られていた機種ですが、非常に人気のあるロッドで、セールス面でもかなりのヒット作だったようですね。
購入したのは限定モデルなので、ブランクスやスレッドのカラーがノーマルとは異なります。 |
このロッドのスペックは全長2570mm、自重80g、2pcsで適合ルアーウエイトは3~21g、適合ラインはPE0.4~1号、カーボン含有率99.7%、税込定価49,500円となっています。
どんなロッドなのか、メーカー説明文を引用してみましょう。
(ヤマガブランクス製品サイトより引用)ライトゲームカテゴリーの中で1本あれば何でもできてしまう一本。
水面から中層、ボトムまで、あらゆるレンジをライトラインで攻略するための超高感度&パワーロッド。
極細のPEラインを使用して、小物から大物まであらゆるターゲットを狙うことをコンセプトとしたファイナルウェポンとして仕上げました。
ブランクにはナノアロイⓇテクノロジーを採用し、ナチュラルな高感度性能と驚異のリフトパワーを実現。
ファイト時の感度も良好で、不意の大物がヒットしても即座に頭の向きを把握し、アドバンテージを取ることが可能。
ハタ系のロックフィッシュから、チヌ&シーバス(トップからボトムまで)、メバル&アジ、更にはエギングまで楽しめます。
使い方はあなた次第。アングラーのスキルによって無限の可能性を秘めるヤマガブランクス渾身のオールレンジ攻略モデルです。
要は、タックルバランスさえ合っていれば、「なんでも狙えてしまう万能ロッド」といった感じですね。
ロッドの性格は多少異なりますが、対象魚や使用ルアーといった立ち位置的には、シマノのボーダレスショートスペック260M-Tに結構近いんじゃないかと思います。
私は2019年春の新製品、83TZ/NANO Flexと93TZ/NANO All-Rangeも発売当初に購入して愛用していますが、ブルーカレントシリーズは単に「ライトゲームロッド」という単語からイメージされる以上に、いろいろな釣りに使える汎用性の高さ、キャパシティの広さのようなものを持っているロッドシリーズだと思います。
今回購入した85TZ/NANOも、手にしただけでシーバス、チニング、ロックフィッシュなど、いろいろな釣りに使えそう!という想像力を掻き立ててくれるようなロッドですね。
手にした印象
このロッドを手にとってみて、まず意外だと感じたのは、シャキッとしたハリ感。
振ってみた感じ、同じシリーズの後発製品である83TZ/NANOや93TZ/NANOよりも明らかにハリ感は強いような気がします。
もともと曲がりを追求して「Flex」のサブネームを冠する83TZ/NANOに比べると、ハリが感じられるのは当たり前のような気がしますが、同じコンセプトのロングレングスロッドである93TZ/NANOに比べてもハリが強く感じられるのは不思議。
個人的にこれまでの使用経験からヤマガブランクスのロッドに対して抱いていたイメージを、いい意味でちょっと裏切ってくれてますね。
このあたりは実釣で使ってみないとわかりませんが、個人的には非常に好ましい印象を受けました。
また、この85TZ/NANOの「80g」という自重は、83TZ/NANO Flex(73g)より若干重いですが、それでもこのロッドのパワー感を考えると驚異的とも言える軽さ。
この軽さなら、シマノC3000番リールも良さそうですが、C2000番クラスの方がよりマッチしているかもしれませんね。
BB-X RINKAI SPの1700DXG(C2000版相当サイズ)を装着したところ。見た目的にもベストバランスだと思います。限定の赤いブランクスカラーが、何気にファイヤブラッドのスプールカラーとも合っていますね。 |
バットガイドはライトゲームロッドとしてはかなり口径の大きいサイズが付いているので、C3000クラスのリールのスプール径であってもラインのバタつきや叩きは少なそうで、キャスタビリティは問題ないでしょう。
ティップにかけての各ガイドは、ライトゲームロッドとしてはやや大き目、シーバスロッドに比べるとコンパクトなタイプ。
個人的にはガイド径はワールドシャウラのように大きい方が好みですが、まあ最近のロッドはこんなもんではないかと思います。
新しいロッドを購入したら、毎度600mlペットボトルのリフトをしてみて曲がりを確認するのが恒例なので、今回ももちろんやってみました。
低負荷から高負荷まで、あまり曲がりの頂点が変動せず、過重に対してリニアに大きく曲がるややスロー寄りのレギュラーアクションは、ヤマガブランクスらしい曲がり方と言えますが、ここでもやはり83TZNANOや93TZ/NANOよりもややハリ感を感じましたね。
ブルーカレント85TZ/NANOのベンドカーブはとてもスムース。負荷をかければしっかり胴にも入り、バット付近まで曲りこみます。 |
ロッドが短いから若干93TZ/NANOとは特性が異なるのかもしれませんが、ロッドを曲げ込んでいく時に支持する腕に感じる反力は、85の方がより強く感じられます。
つまり、魚とのファイト時の手応えを、よりダイレクトに感じられるタイプではないかと推測されます。
ブルーカレントTZ/NANOシリーズに共通の仕様であるFuji製VSS16のグリップは、シンプルでこれといった大きな特徴はありませんが、実際に手に取ると非常に握りこみやすく、操作しやすく、ライト〜ミドルクラスのルアーフィッシングを幅広くターゲットにした、このロッドの性格にもズバリマッチしたグリップだと思います。
ブランクスのテーパーは83TZ/NANOよりも93TZ/NANOの方に似ていますが、元系は当然83TZ/NANOより太く、93TZ/NANOより細め。
上から93TZ/NANO、85TZ/NANO、83TZ/NANO。85は意外とブランクス自体は細くて、雰囲気は83TZ/NANOに近いですね。 |
完璧なロッドに思える93TZ/NANOで唯一不満だった点が、バット部分の径の太さだったので、よりシャープな外観である85TZ/NANOのブランクスは個人的には大歓迎です。
これだけシャープなら振り抜きも気持ちよさそうですね。
ちなみに今回購入したのは中央漁具70周年記念限定モデルなので、バットセクションのカラーリングと各ガイドスレッドのカラーリングが落ち着いたワインレッド風のカラーになっています。
個人的にはあまり派手なカラーのタックルは好きではありませんが、このカラーに関しては特別感もあるしワールドシャウラ風で結構気に入っています。
性能面ではノーマル仕様と変わりませんし、仮にティップセクションだけ折れてしまった場合などは、ノーマルパーツとの悲しいPPAPの未来が待ってそうで心配なのですが(笑)
実釣インプレッション
以下では、しばらく実釣で使用してみたインプレを記したいと思います。
キャストフィール
これまでブルーカレントシリーズはしっかりブランクスを曲げて、そのタメを放出するかのようなキャストフィールが特徴的だと思っていましたが、85TZ/NANOに関しては、思っていたよりもビシっとシャープに振ってキャストできる感じです。
この辺りの感覚はルアーの種類、空気抵抗やサイズ、ウエイトで変わってくるかと思いますが、83TZ/NANO、85TZ/NANO、93TZ/NANOで同じザブラクロストリガー(7.8g)やマニック75(7.6g)といった軽量ルアーを投げ比べてみたところ、特に85TZ/NANOでのシャープなキャストフィールが際立っていました。
ちなみに、このクラスの軽量ルアーだと、どのロッドで投げても絶対的な飛距離はあまり変わらないようで、意外とバランス面でマッチしていたのか、最も短い83TZ/NANOの体感飛距離が最も良かったです。
上から93TZ/NANO、85TZ/NANO、83TZ/NANOのブランクス。短い分だけ、85TZ/NANOや83TZ/NANOはやはりシャープですね。 |
もう少し重たい10g台を投げ比べたら間違いなく85TZ/NANO、93TZ/NANOが有利でしょう。
ちなみに、85TZ/NANOのカタログ表記では、下限は3gから適合ウエイトになっていますが、実際に3gクラスのメバルルアーを投げても十分キャストできます。
上限は21gまでとされていますが、もう少し上限値を超えた25gクラスのルアーでも十分背負うことができ、実用上不足の無いキャストフィールです。
このパワー感と幅広いウエイトに対応したキャスタビリティは、このロッドを手にした時に用途として考えていた通り、厳寒期から早春にかけてのバチパターン、マイクロベイトパターンなどフィネスなシーバスフィッシングにはズバリマッチしますし、状況に応じて臨機応変にミノーやバイブレーション、ワームなどといった幅広い種類のルアーを使いこなせるため、汎用性という意味では抜群だと思います。
感度と操作性
まず、操作性に関してですが、このロッドの80gという超軽量なウエイトと、コンパクトなグリップ回りの作りは、非常に操作性がよく、軽快な使用感をもたらせてくれます。
私自身はやりませんが、この軽快感ならワンハンドキャストもできてしまいそうなくらい。
自重が非常に軽いため、合わせるリールはC2000番でも良いですし、それなりに大きいサイズのバットガイドもついているので、C3000番でも良いのですが、若干先重り傾向があるロッドであるため、個人的にベストと感じるのは、パワフルなギアにコンパクトなスプールとドラグを合わせたC2500番、具体的にはステラC2500SXGが最もマッチするかなと思いました。
ロッドのデザイン的にはヴァンキッシュの方が似合いますが、ウエイトバランス、重心位置も踏まえるとステラ(写真上)の方が若干手元寄りで良いですかね。
ブルーカレント85TZ/NANOは軽量で操作性が高いロッドですが、性格としては、小技を効かせた細かな操作を多用する釣り方よりも、ゆったりとしたアクションやただ巻きの釣りに向いているキャラクターであるため、巻き感度に優れるステラの方がよりマッチしますね。
#1セクションのガイド。ティップよりはシーバスロッドに比べると小さめですが、バットやバット2番目はそこそこサイズのガイドが付いてます。 |
次に、感度に関して。
ブルーカレント85TZ/NANOは感度が良いと評されるロッドですが、一般的に感度が良いと聞いてイメージされるような、キンキンとした、レーシーな感じの感度ではありません。
ロッドの仕立てがしなやかさが前面に出ていながら、ハリ感も持ち合わせているといった感じなので、その感度の良さはパッツン系のロッドにありがちな尖った感覚のモノではなく、どこか角が取れたような、ノイズの抑えられたナチュラルな感度の良さです。
特に、ミノーやシンペンを使った流れを探る釣りにおける感度は抜群。
ルアーに掛かる僅かな水流、水圧の変化を的確に捉えることが出来、まさにフカセ釣り感覚でルアーを流すことができますので、このような釣りが好きな人にはたまらないロッドだと思います。
総じて、このロッドは非常に軽量でしなやかながらも適度なハリ感があり、そして8.5ftという絶妙な長さのため、ロッドとしては操作性と同時に感度も抜群に良く、遠距離での小さなアタリも積極的に掛けにいけるロッドだと思います。
パワー感と適した釣り
なんでもロッドということで、このロッドのパワー感がいかほどのモノか気になる方は多いかと思いますが、ズバリ言うなら、メバルロッド以上、シーバスロッドのライトアクション以下のパワー感だと思います。
私が他に使っているロッドと比べると、ヤマガブランクスのバリスティックML、シマノのエクスセンスインフィニティやジェノスのMLやL+、シマノのワールドシャウラ2831R-2(1パワー)などに比べると確実にアンダーパワーであり、同じヤマガブランクスのブルーカレント93TZ/NANOとは差は小さいですがやはり若干アンダーパワーです。
逆に弱い方と比べると、同じヤマガブランクスのブルーカレント83TZ/NANOよりはかなりパワーで勝り、Ⅲ82より若干パワーは上。
限界まで曲げた時にはどうかわかりませんが、ワールドシャウラ2750FF-2(0パワー)に比べても、使用感でのパワーは上になります。
このようなパワー感であるため、ジグ単やプラグを中心としたメバリングやアジングには明らかにオーバーパワーで、これらの釣りに使うとしたらよほどの潮流場での重量級ジグヘッドの使用か、マイクロショアジギング、フロートリグなどの釣りに限定されるかと思います。
ただ、それ以外の国内のミドル級ルアーターゲットとの相性は抜群なパワー感で、特に寒季から晩春にかけて、水温がまだ上がり切らない時期のシーバスフィッシングには素晴らしいッチングを見せてくれますし、ブリームゲーム(チニング)にも最適。私はやらないのでわかりませんが、中小型エギ中心のエギング、小型青物のライトショアジギング、ライト目なロックフィッシュなどにもちょうどよいのではないでしょうか。
シーバスやアカエイ、巨大ボラなどと多数戦ってきた(笑)感覚から、大物相手のファイトでは非常に大きく曲がりこむものの、曲げこんだ時に生じるリフティングパワーはかなりのロッドだと思いますので、適合ルアーウエイトやライン号数さえマッチしていれば、安心していろんな釣りに使えると思います。
中でも特に適しているなと感じるのが、4,5月あたりのシーバス釣り。
この時期は、ちょうど夜潮と昼潮が入れ替わる時期でもありますが、デイでは中小型プラグやバイブレーションの釣り、ナイトではバチ、マイクロベイトの釣りと、同じ日でも時間帯によって使用するルアーが大きく変わる時期。
こんな時でも適合するルアーの幅が広いこのロッドであれば、一本でデイゲームからナイトゲームまで不足なくこなすことができます。
各社とも、なぜかシーバス専用ロッドのラインナップでは冬季から初夏、シーズン前半に適したパワー感やアクションのロッドが手薄なので、このブルーカレント85TZ/NANOのキャラクターは結構希少価値があると思います。
この時期デイからナイトまでぶっ通しで釣りをしても、ハリが強すぎない特性のため連投による体への負担が少ないというところも、このロッドを選ぶメリットの一つですね。
インプレまとめ
今回はヤマガブランクスのベストセラー、ブルーカレント85TZ/NANOのインプレッションをお届けしましたが、いかがでしたでしょうか。
今のところトータルで見ると、このブルーカレント85TZ/NANO、これまで素晴らしいと思っていた93TZ/NANOと比べてもさらに軽快さと感度が上がったような使用感で、使用感は文句なし、非の打ち所のないロッドのように思えます。
たしかにこの内容でこの価格ならセールス面で大ヒットするのも十分納得。
個人的には、仮に折れたり無くしたりしたら、もう一回同じ竿を購入するだろうなと思えるくらい、久々に良いロッドに出会いました。
2016年の登場から既に5年が経過し、既にモデルライフサイクルとしては終盤のロッドかもしれませんが、そんなことは全く関係ないと思えるほど値打ちのあるロッドだと思います。
今からでも遅くはないので、気になる方は是非手にとってみてください。
ハリと感度、しなやかさと粘りという相反する要素を高い次元でバランスさせた素晴らしいロッドなので、きっと買って後悔することはないと思います。
その他のブルーカレントTZ/NANOシリーズのインプレ記事も書いています。宜しければご覧になってください。
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