みなさまこんにちは。
2022年も既に中盤になりました。
コレから夏にかけての季節は、南風により太平洋側の釣り場はどんどん濁りが入って、昼潮ということもありデイゲームで釣果が期待できる時期ですね。
しかし、この濁った水の中で釣りをする際、恐ろしいのが、ウェーディング中のエイとの遭遇。
釣り上げたアカエイ。鋭い毒針をもつ尻尾をぶんぶん振り回して危険極まりないヤツです。 |
私自身はウェーディングの釣りは2010年ごろにはじめましたが、2010年代半ば以降、どういうことか地元の釣り場にアカエイ、ナルトビエイが爆発的に増えてきました。
近年は1回の釣りで多い時には10匹以上と遭遇することも。
この中でも特に危険なのがアカエイ。
泳ぎ回ってうろうろしているシーンも見かけますが、底にべったり張り付いてじっとしているケースが非常に多いエイで、ウェーディング中気づかずに接触してしまう事故がいまだに後を絶ちません。
特に、アカエイが産卵のために河口や干潟などに接岸する5月から9月の期間は、浅場にうじゃうじゃ居るので危険極まりないですよね。
アカエイの毒はご存じの通り血清の無いタンパク質性の毒で、直接傷口の細胞を壊死させ炎症を引き起こし、さらに細菌感染などを併発させる恐れがあるため、刺されたら入院加療は必至なのですが、コロナ禍で医療がひっ迫する昨今の状況では、そういう状況は絶対に避けねばなりません。
ということで、今回は、このアカエイ被害を防ぐために有効なアイテムについて、インプレも交えてご紹介いたします。
エイ対策アイテムは多くのカテゴリがあり、それぞれに製品バリエーションもありますが、この記事では2022年現在、各カテゴリごとにベストと考えられるアイテムとその理由についても記します。
外付けタイプのエイガード
エイの毒針を防御するという意味では、もっとも有効であるのがこのタイプ。
かなりガンダムチックな外観ですが、これがエイ被害軽減に非常に有効! |
ウェーダーのブーツ部分の外側を樹脂版等で覆うことで毒針が刺さらないようにするため、安全性が最も高いというところが最大のメリットです。
その反面、これを装着した状態では水中、陸上にかかわらず、歩行しづらくなること、また、しゃがむことはほぼ不可能に近いということ、また、リベットやベルト、留め具のゴム等、使用に伴い消耗品となるパーツが多いことがデメリットです。
残念ながら製品の選択肢は非常に少なく、2022年現在でも継続して販売されているものは、以下掲載の2種類になってしまいました。
K&Kプロダクツ ステルスエイガード
現在も販売されている唯一の全面防御型の外付けエイガード。
メーカー解説では対応するウェーダーメーカーが限定されているように記載されていますが、実際にはキック(踵の突起)があるブーツタイプのウェーダーであれば、比較的多くのメーカーのものに装着可能で、私も類似品(DAXレイシールドType-R)を、適合表記の無いシマノやパズデザインのウェーダーに装着していたことがあります。
本体は耐久性もあり一度購入すればその後長年の使用に耐えてくれずっと使えるものですが、このタイプのエイガードで必ず必要となるリベットやゴム、ベルトといった消耗部品についても通販で提供されているため、サプライ面も安心して使うことが出来ますね。
リトルプレゼンツ EIガードⅢ
ウェーダーのメーカー、サイズやタイプを問わずに外付けできる唯一のエイガードがこれです。
特に、ソックスウェーダー+ウェーディングシューズの組み合わせる方にとっては、実質的にコレ一択と言えるのではないでしょうか。
ナイロン生地+ポリエチレン板の組み合わせの製品ですが、水を含むと多少重くなり、水中移動時の水抵抗はステルスエイガードに比べるとそこそこ大き目です。
装着した様子。つま先周りや甲の一部が保護されていないことが見て取れると思います。 |
また、ステルスエイガードに比べると、つま先周りや甲部分など多くの部位がカバーされておらず、ガードされる範囲が狭いため、かならず後述の他の対策品とセットで使用することをおススメします。
唯一摩耗部品となりうる靴底を通すベルトは、一般的なアウトドアショップやホームセンターで販売されているPPテープ(ストラップ)で自作することもできるため、これも一度買ってしまえば長年使い続けることができますね。
インナータイプのエイガード
万が一エイに刺されたときに、その毒針が貫通して皮膚に刺さらないようストッパーの役割を果たしてくれるのがこのインナータイプのエイガードです。
防弾・防刃チョッキ等に採用される繊維を使用したソックスタイプのものが一般的ですが、万が一刺された場合はウェーダーそのものには穴が開いてしまうところ、また、100%刺し傷を防いでくれるというわけではないところ、そして、装着時には往々にしてウェーダーのサイズアップが必要になるところがデメリットです。
インナータイプのエイガードは、エクリプス、アイマ、パズデザイン、アングラーズデザイン(倒産)など複数メーカーから販売されていますが、この中でベストなものといえば、パズデザインの「レイガードⅡ」。
理由は、他のすべてのメーカーが、加水分解により経年劣化するノーメックス等のアラミド系繊維を採用しているのに対して、レイガードⅡのみが、加水分解しないスペクトラ素材を採用しているからです。
レイガードⅡは価格面では1~2万円程度、他のインナータイプのエイガードより割高ですが、この素材上の特性から、長期使用するなら十分その価格差を補えるほどメリットがあると思います。
また、2021年には、有限会社ポルテから、インナーエイガードの新たなジャンルとも言える、金属薄板を使用した「SUS-K RAYS(サスケレイズ)」というエイガードが登場しました。
こちらはまだリリースされて間もない製品であり、インプレやレビューもまだ少ないですが、多数枚の薄板ステンレスプレートを、足底部分を除く全周囲に重ね合わせながら隙間なく縫い付けた構造であり、防御力はたまに貫通事故が起きる繊維系よりも確実に高そうですし、加水分解など経年劣化の心配は無用であることから、このタイプを長年使用するには新たな良い選択肢になりそうですね。
薄板ステンレスが足回りをカバーすることで、ウェーディング中の水圧による足の痛みの軽減も期待できるとのことで、今後広まりそうな予感のするアイテムです。
電気式エイガード
海中に微量の電流を流すことで、サメやエイの持つ独特の感覚受容器官である「ロレンツィーニ器官」に働きかけて忌避効果を狙ったのが、この電気式エイガード。
最も有名なのは、アクティブエイガードですかね。
アクティブエイガード。現在はヤフオクでしか買えません。 |
メリットとしては、動きやすさ等に一切影響せず、ウェーダーとの相性問題やサイズアップの必要性なども気にする必要が一切なく、普段使いのウェーディング装備にただ付け足すだけでエイ避けとなってくれるところです。
デメリットは、水没させなくても比較的故障しやすいところ(この3年間だけでも3台買い替えました)と、端子の消耗(電気分解による)が激しいところ、また、現在ヤフオク以外で入手できないところでしょうか。
バッテリー切れや通電忘れなど、動作していない状態であっても気づきにくいというところも使用上の注意点ですね。
ちなみに、個人的には過去に2回、わずか数十センチという極至近距離まで接近しても全くエイに対して効果が無かった遭遇事例を経験しているため、もしかしたら地雷のように底にへばりついているエイにはそこまで有効ではないのでかもしれません。
そのため、使用する際は100%の忌避効果が得られるとは過信せず、他のエイ対策アイテムと組み合わせるようにしています。
コンセプト自体は素晴らしいアイテムだと思いますので、耐久性等製品がより改良されればよいのですが。
(追記)
とおもっていたら、いつのまにか電気式エイガードに別の選択肢が登場していました。
その名も「海園」(カイエン)。
詳細は以下記事に書いていますので、ご興味ある方は是非ご覧になってみてください。
磁気式エイガード
厳密に言えば磁気式のエイガードなる製品は存在しませんが、上記電気式エイガードと同様、ロレンツィーニ器官に働きかける磁力を用いたサメ除けバンドなるものがマリンスポーツ用途で発売されており、これがエイ避けとして有効です。
超強力磁石であれば同様の効果が得られると思いますが、通販などで入手可能な製品としては、「シャークバンズⅡ」が有名ですね。
オバマ元大統領もマリンスポーツのシーンでは装着していますね(SHARKBANZ 公式サイトから引用) |
私はこの製品を2年ほど愛用しており、これを使うようになってからは一度もエイとのニアミス事故を起こしていないのですが、果たしてこれの忌避効果によるものなのか、それとも単に運が良かっただけなのかは定かではありません。
しかし、このシャークバンズを装着した状態でウェーディング中に何度か、泳いできたアカエイが急にターンして逃げて行ったシーンを目撃しているため、忌避効果は高いのではないかと感じています。
メリットはただ足首に巻くだけと装着簡単なところ、充電等が不要でいつでも確実に作動してくれるところで、使っていてとても安心感が高いアイテムです。
デメリットは(製造原価を考えると)価格が高いところでしょうか。
ウェーディングスタッフ
まさに転ばぬ先の杖として、ウェーディング中の歩行などにおいて進行方向を突いて進むことにより、底にべったり張り付いたエイとの近接遭遇リスクを軽減してくれるアイテムがウェーディングスタッフ。
特に春以降、濁りが入った水の中を進む場合は、思わぬスリットやゴロタ等により転倒、水没の危険もあるため、それらの危険を回避する目的でも大活躍してくれるアイテムで、春以降にウェーディングをするなら必携のアイテムとも言えます。
暖かくなり水が濁り始めたらウェーディングスタッフの出番。 |
ウェーディングスタッフは複数のメーカーから発売されており、専用品ではないトレッキングポールなどで代用することも可能ですが、間違いなくベストな製品はパズデザインの「ウェーディングスタッフPAC-204」。
この製品がベストな理由は多数ありますが、他社製品と大きく差別化されている主なポイントを挙げると、以下の通りです。
- 他メーカー製品に比べ長さ調整が可能で最大長が長いため、進行方向の海底を探りながら歩行することが出来る(深くウェーディングする場合、130cm以下の短いタイプでは役に立たない)。
- 海水環境での利用を想定したカーボン素材は、万が一体重を掛けてしまった場合でも折れや曲がりの心配がなく、安心して使用することが出来る。
- 万が一落水させてしまった場合もグリップ部分が浮力で浮くようになっており、紛失リスクが少ない。
これも価格が高いところが難点ではありますが、某社の格安ウェーディングスタッフは自分の周囲でも3年間で2件、まったく同じような壊れ方により使用不能になった事例がありました。
それに対してこのPAC-204は破損事例は聞いたことがありません。
万が一落水させても、水中に沈んで倒れこんでしまうようなことがなく、このようにグリップ部分が浮いてくれるため、紛失してしまうリスクはかなり低いです。 |
長年使う安全対策のアイテムであるからこそ、信頼性と耐久性に関するコストはケチってはいけないと思います。
上記PAC-204は、2021年に廃盤となり入手困難となりましたが、改良版であるPAC-366 ウェーディングスタッフ2という製品が2024年春に再販されるようになりました。
市場流通量はさほど多くなく欠品が目立ちますので、気になる方はお早めに購入することをおススメいたします。
その他エイ対策に必携のアイテム
上記のアイテムは、エイからの防御や、忌避など遭遇予防の意味でのエイ対策グッズですが、以下ではエイがルアーに掛かってしまった際のラインディングやフックオフ時に是非持っておきたいアイテムをご紹介します。
ウェーディングに限らずオカッパリでも非常に重宝するアイテムで、安全にフックオフ作業を行うためには必需品ともいえるアイテムたちです。
フックリリーサー
登場から早くもフック外しの定番アイテムとなりつつあるフックリリーサーですが、実はエイのフックオフ時にも非常に有効。
それはなぜか?
特にシーバスルアーフィッシングでは釣り上げたエイの多くは、体のどこかにフックがスレ掛かりした状態なのですが、多くの場合でエイは尻尾を振り回して暴れるため、フックを外すにのも非常に危険が伴います。
こんな時、プライヤーとフックリリーサー両方を持っていれば、プライヤーでエイの尻尾の毒針部分を固定して、もう片方の手でフックリリーサーを使ってルアーを安全に外すことが出来るからです。
特にリーチが長く強度も抜群のスタジオオーシャンマークの「HR165S」が、使い勝手の面でも安全性の面でも特におススメ。
もし、フックリリーサーはちょっと苦手という方がいらしたら、プライヤーを2本持つようにするだけでも、フックオフ作業の安全性はかなり変わってくると思いますので、サブプライヤー導入を検討いただければと思います。
根掛かり外し
大型のエイは重量もあるため、スレ掛かりした時に非常に困るのがランディングとリリース。
私は、エイが掛かったらなるべく安全のため水から上がって、陸地にずり上げランディングするようにしていますが、エイは大き目のモノは10kg以上と非常に重量があるため、ずり上げランディング中にラインブレイクさせたりタックルを損傷させてしまう恐れもあります。
そんな時の救世主的なアイテムが、鮎釣り用の根掛かり外し。
想像以上に活躍してくれるアイテムがこの鮎釣り用根掛かり外し。10kgを超えるエイでも難なくランディングできる静荷重強度がありますが、瞬間的な負荷には弱いため、あまり無茶な使い方はおススメできません。 |
先端がフック形状になったタイプであれば、狙いを定めてルアーのフックにこれをひっかけることで、重量級のエイでも楽にずり上げランディングすることが可能です。
慣れればこのアイテムだけでフックオフさせることも可能で、私は長年使用しているため、状況によっては陸上にエイを上げることなく、水中でこのアイテムを使ってルアーを外すことも多いです。
ボラのスレ掛かりなども、魚体に近づかずにほぼコレで外していますね。
その他の便利な使い方として、一旦ランディングしたエイのエラ穴にフックをひっかけて曳航することで、エイを傷つけることなく安全に水中にリリースしてやることも可能。
このようにして、フックオフのためにランディングしたエイをもとの水に返してやる際にも非常に便利。エイと距離をとってリリース作業できるため、安全です。ちなみに、先端のフックはただ引っかけるだけでエイの体に刺さるわけではないので、無用なダメージを与える心配もありません。 |
フックを外した後のエイを水に戻してやるのは非常に骨の折れる作業であるため、これを持っているかいないかで違いは大きいです。
まさにエイ対策としては一台三役ともいえるマルチな活躍ぶりを見せてくれるアイテムです。
特にウェーディングでは、根掛かりしたルアーを回収するのはもちろん、うっかり水中に落としたルアー等の回収にも便利ですし、過去には水中に落とした携帯電話(防水)のストラップにコレを引っかけて無事回収したこともあります。
以前はこの手のアイテムは複数選択肢があったのですが、残念ながら年々どれも廃盤になってしまい、現状で入手できるものとしてはタックルインジャパンの「ポケット根掛かり外し」くらいになってしまいましたが、価格も安く携行性も良く、釣りする際には絶対常備しておいた方がいい、超おススメのアイテムです。
エイ対策完全ガイド まとめ
さて今回は各種エイガードなど最新のエイ対策アイテムをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
この記事で取り上げたものは、いずれも同一の製品カテゴリの中でベストなもの、または他に選択肢が無い唯一無二のものばかりですが、全体を通していえることは、いずれの製品もそれ単体でエイ被害を100%防げるものではないということ。
そのため、実際の釣りの現場で使う場合は、各アイテムの特徴や個性を理解した上で、同時に複数の対策アイテムを使用するのが最善の選択だと思います。
例えば私自身の場合だと、冬季のように水が澄んでおり水底まで完全に目視確認可能なシーズンでは、電気式エイガード+磁気式エイガード。
春になって水に濁りが出てきた頃にはそれらにウェーディングスタッフをプラス。
そして初夏以降、完全に水中が見えないくらい濁りが入る季節になると、さらに外付けエイガードもプラスして利用するといった感じで、必ず複数のアイテムを組み合わせて効果的に対策がとれるようにしています。
最後にご紹介したフックリリーサーと根掛かり外しについては、エイは通年釣り場に居り、いつフックに掛かるかわからないため、年間通じて必ず装備するようにしています。
意外な浅場にも出現するアカエイ。家族や周囲の人に心配や迷惑を掛けないためにも、安全対策は十分に行いたいものですよね。 |
ウェーディングに限らずオカッパリでもエイが掛かるとランディングからフックオフ、リリースまで結構大変な作業になるため、これを安全にサポートしてくれるこれらのアイテムは、経験上も絶対持っておいた方がいいと思いますね。
医療に負担を掛けるわけにはいかない今の現状であるからこそ、エイ被害を出さないためにも釣り人の責任として、安全対策はしっかりと行って楽しく釣りしたいものです。
この記事でご紹介した以外のエイガードなどはこちらです。
以下の記事でも、エイ対策アイテムで必須と言えるアイテム6選をご紹介していますので、よろしければご覧になってみてください。
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