みなさまこんにちは。
最近はオカッパリで釣りをすることが多く、ガチ装備ではない気楽なシーバス釣りには’18ワールドシャウラ2831R-2ばかり使っています。
最近コレばっかりでグリップに若干使い込み感が出てきたワールドシャウラ2831。 |
大口径ガイドでキャストフィールが非常によく、ガチガチすぎない適度なパワー感で魚がかかるとよく曲がって引きを存分に楽しめる。
そういうわけで、大のお気に入りロッドなのですが、実はちょっとした問題が。
それは、コルクグリップ部分。
私は魚釣りから帰ってきたら、お風呂で結構入念にタックルを洗うのですが、そのせいか、まだ新しいロッドなのに結構コルクの目抜けが激しい。
さらに、洗浄の際にゴシゴシ擦りすぎてしまったのが災いしたのか、グリップのコルクの一部がもげてしまっていたのです。
コルクグリップにできた目抜けと欠損による穴 |
シマノのお客様相談窓口に修理可能か問い合わせましたが、シマノではグリップ部分だけ修理することはできないとの回答。
ということで、今回は、このコルクの目抜けと、欠けたコルクの修復にチャレンジしてみましたので、修理方法と使用するアイテムについてご紹介したいと思います。
そもそも、なぜグリップ素材がコルクなのか
最近はシマノからフルカーボン製なんてのも出てきましたし、ウッドグリップ、樹脂グリップ、ゴムなんてのもありますが、多くのルアーロッドのグリップはやはりコルクとEVAが一般的なのではないでしょうか。
安価で大量生産が容易なEVAは、個人的には好きなグリップ素材ですが、特定の有機溶剤に弱かったり、耐用温度幅が-20℃〜60℃程度と狭い、劣化した際に修復ができないなど、なにかとデメリットも多いですね。
それに対してコルクの方は、溶剤や薬品にも強く、耐用温度幅もー40℃〜150℃とかなり広め、吸水性がないため水に濡れるようなシーンでも扱いやすく、また1㎤あたり2,000万~4,000万個の小さな細胞から成りその中が空気で満たされているという性質から、軽量であるだけでなく、振動の伝達感度の面でも良いとされています。
そのため、特にライトなルアーロッドのグリップにはコルク材は最適とされていて多用されているのですが、問題はそのコスト。
もともとコルクはグレードによる差はあるものの比較的高価な素材で、例えば旧レッドタイプのワールドシャウラのように、長いエンドグリップは、ドーナツ状のコルク片を長い筒状に接着したものを整形して作りますが、天然素材故に整形中に大きな傷や穴が見つかったものは廃棄せざるを得ないなど、歩留まり率が低くなりがちなので、どうしても高コストになってしまいます。
セパレートタイプや、ショートグリップタイプなど、短く整形する分にはそれほど歩留まり率が低くならず、ロンググリップほど高コスト傾向にならないということもあって、今でもよく見かけますが、’18以降のワールドシャウラがそうであるように、近年はロンググリップでコルクタイプのロッドは、めっきり数を減らしてしまいましたね。
一般的なコルクグリップの修理方法
上記の通りコスト面で割高になりがちなコルクグリップですが、EVAより優れている点として、傷付いたり劣化したりしても適切に修理すれば長期にわたり使用できることが挙げられます。
コルクグリップの釣り竿で一般的によくあるのが、コルクパテを使った穴埋め修理。
買ったばかりの釣竿では非常に綺麗に見えるコルクですが、実はコルク表面には結構凸凹穴が開いているのを、パテでうまく隠しています。
実釣で頻繁に使って、使用後に水洗いなんかを繰り返していると、このパテが流れてだんだん穴ぼこが目立つようになってきますね。
旅行先以外ではほとんど使用していないワールドシャウラツアーエディションのグリップ。まだ新品時のコルクパテが幾分残っています。 |
このようなコルクの「目抜け」で、一般的に用いられるのは「コルクパテ」を用いた修理。
コルク表面の穴ぼこを、このコルクパテで埋めて目立たなくするというものです。
この修理方法は有名で、WEBで調べればいくらでも紹介記事が出てくるので、この記事では詳細のご紹介は割愛しますが、大まかな流れは以下の通りです。
-
コルクグリップ表面の汚れを落とす
汚れ落としの方法はいくつも説がありますが、手垢や脂汚れも落とす必要があるため、中性洗剤+メラミンスポンジの併用がオススメ。
強く擦るのではなく、擦るのに時間をかけ回数をかけて汚れを落とす方が、表面へのダメージも少なく汚れもよく落ちます。
-
パテでグリップ表面の凹を穴埋めする
コルク用のパテを、表面の凹を埋めるように、ヘラを使って丁寧に擦り込みます。
穴埋めが終わったら、30分程度乾燥させます。
Justace/ジャストエース 補修用コルクパテ CS-01◆内容量:25g●ロッドを使い込むとコルクグリップの穴や隙間が目立ってきます。 そこでこの補修用コルクパテをその穴や隙間に埋め込み、乾燥させサンドペーパーでサンディングするだけで新品の様に戻ります。釣り界では最も有名なコルクパテがコレ。ただし水性のため使用に伴い流れてしまい、何度もやり直しが必要なところが玉に瑕。白すぎて色合わせが難しい面もありますね。
-
完全に乾燥させたのち、サンドペーパーで表面の凹凸を滑かにする
乾燥し終えたグリップの表面についたパテを、まずは#400程度の目のサンドペーパーで荒削りします。
パテの粉が大量に出てかなり目詰まりを起こすため、ペーパーは頻繁に交換が必要ですので、予め余裕を持った量を用意しておくのが良いでしょう。
荒削りののち、表面の仕上げに#800程度のペーパーを掛けて、完成です。
コルクパテを使った修理方法の問題点
世間一般でもよく見るこのコルクパテを使った修理方法ですが、この方法での修理には以下のような欠点があります。
- コルクパテの色があわない(白すぎる)
- コルクパテが使用に伴いすぐに流れてしまう(パテ埋めを頻繁にやり直す必要がある)
- 大きなひび割れや穴の修理には向かない
代表的なコルクパテといえばジャストエースのコルクパテ。しかし、その色目については白すぎるとのレビューも多数あり、作業性に優れる水性ゆえに、耐久性がイマイチです。 |
1.の色が合わない点については、WEB上ではいろいろなサイトで指摘されているところですね。好みの問題もあると思いますが、これについては、コルクのカラーに合うよう、コルクパテに予め染料を混ぜておくことで解決できます。
2.3.についてはどうでしょうか?
これは、廉価なものから高額なものまで、市販のコルクパテのほとんどが、水性タイプであることによるものです。
実際にコルクパテを使われたことがある方ならよくご存知でしょうが、せっかく手間隙を掛けて修理したコルクグリップも、頻繁に水がかかる状況ではわずか数回のロッド使用で、埋めたパテが溶けて流れてしまい、またやり直しを余儀なくされてしまいます。
結構手間暇がかかるグリップ修理作業を何度もやるのはイヤですよね。
しかし、そんなコルクパテの弱点を見事に解消してくれる類似商品があります。
それは、「ウッドエポキシ」という、木部用充填補修材です。
コルクグリップの修理に最適なウッドエポキシとは?
エポキシ樹脂を主成分とするエポキシパテの一種であるウッドエポキシは、コニシ株式会社の商品名です。
「タモ」「ラワン」の2色展開ですが、下記リンクの通り、濃い目の「ラワン」カラーの方が、自然なコルクのカラーに合っています。
なお、ホームセンターでも売っているところもありますが、送料税込でもAmazonがダントツの低価格で入手できると思います。
中身は一般的なエポキシパテと同様に、A剤、B剤に別れており、A剤はエポキシ樹脂および無機質充填剤が、B剤は3級アミン、編成ポリアミドアミン、ポリアミドアミン、無機質充填剤がそれぞれ主成分となっています。
手に取った感じは柔らかめの粘土、いやカップ入りのバニラアイスに近い感じでしょうか。
用途としては、木製家具、建具、柱、窓枠、木製敷居などの穴、カケ、ヒビ、隙間の充填や腐食補修、さらにはコンクリートや石、金属部の充填にも使用可能なものです。
主な特徴は以下の通りです。
- 硬化後の凹みがほとんどなく、一度に厚塗り可能
- 補修面が湿っていても使える
- 硬化後は耐水性・耐候性・耐摩耗性に優れる
- 硬化後は切削加工・木ネジの使用・釘打ちができる(1週間以内)
- 硬化後は水性・油性塗料の上塗りができる
水濡れ前提の箇所の修理も想定した製品なので、特に耐水性・耐候性・耐摩耗性の高さは大きな魅力で、まさにロッドグリップの補修に最適ですね。
ロッド修理の前に、製品の特性を把握するために実際にこのウッドエポキシを使って樹脂片を作ってみましたが、作業時はお餅のように柔らかく自由に整形できる使用感ながら、乾燥した後はコルクパテに比べて明らかに硬度が高く、完全乾燥(1週間程度)した後の塊は、素手ではまず割ることが不可能というくらいカチカチでした。
ウッドエポキシで試しに作成した破片。かなりの硬度です。 |
ウッドエポキシの使用法は、以下の通りです。
- A剤とB剤を質量比で等量取り出し、色が均一になるまで練り合わせる。
- 補修部分にヘラを使って多めに塗布して、空気を押し出すように充填する。
- 充填後ヘラで余分を掻き取りながら平らにし、水を付けたヘラで滑らかに仕上げる。
なお、充填作業は混錬後、20℃の気温下では約40分以内に終える必要があります。
また、製品の注意書きには、切削加工は充填後、1週間以内に行うこととされています。
おそらくそれ以上経過すると、石のようににカチカチに固まるため、極端に作業しづらくなるからだと思われます。
ウッドエポキシによるコルクグリップの修理
では実際に、ワタクシの傷あり、目抜けありのワールドシャウラのグリップを、ウッドエポキシを使って修理してみましょう。
乾燥時間などは異なりますが、修理の流れは上述のコルクパテを使った流れと同一です。
-
コルクグリップ表面の汚れを落とす
汚れとともに、穴に残っているパテも落とした状態です。
グレードの高いコルクでも、結構穴ぼこは空いているものです。
-
混錬したウッドエポキシでグリップ表面の凹を穴埋めする
ウッドエポキシを丁寧に穴に押し込み、塗っていきます。
-
乾燥させたのち、サンドペーパーで表面の凹凸を滑かにする。
完全に乾燥すると非常に硬くなってしまうため、半日から1日乾燥させたのちにサンドペーパーで表面を滑らかにしていきます。
下の写真はサンドペーパーをかけ終わった状態。記事冒頭の写真に比べると、新品時に近い明るい色になりました。
写真の通り、作業前と作業後では驚くほど見た目が変わったことがお分かりいただけるでしょうか。
コルクの穴周辺に詰まった汚れを落とし切れていなかったため、完璧に新品時のような綺麗な外観にはなりませんでしたが、DIY修理でここまでできたら十分ですね。
さらに、今回埋めたウッドエポキシは、ちょっとやそっとでは剥がれたりしませんし、何度水に触れてもコルクパテのように溶け出してしまうことがありませんので、この施工後の状態を長く維持できますね。
まとめ
今回は、あまり一般的ではない「ウッドエポキシ」を使用したコルクグリップの修理方法をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
記事のまとめとして、以下にコルクパテ、ウッドエポキシそれぞれの特徴の比較表を整理しておきます。
種類 | 特徴 | 評価 |
---|---|---|
コルクパテ | 水性で水に溶けるため、補修効果の持続性が低い | × |
乾燥後は比較的やわらかで作業性が良い | ○ | |
乾燥時間が短い | ○ | |
値段が高い | × | |
ウッドエポキシ | 耐水性で補修効果の持続性が高い | ○ |
乾燥後は硬く作業性が悪い(削りにくい) | × | |
乾燥時間が長い | × | |
値段が安い | ○ |
冒頭2枚目の写真で大きく開いていた穴も、この通り綺麗に埋まりました。 |
なお、あまり本文中で触れていませんでしたが、上表にある「作業性」について、乾燥後の表面のサンドペーパーがけはコルクパテの方が何倍も作業が楽です。
ウッドエポキシの方は、耐水性、硬度、耐久性に優れる分、8時間程度の乾燥後でも、サンドペーパー掛けは一苦労で、コルク表面に残ったパテの山を削るのにとても手間がかかりました。
ウッドエポキシの使用法の最後に、「水を付けたヘラで滑らかに仕上げる」というくだりがありますが、今回私が行った作業ではこの工程をサボってしまったので、このせいでコルク表面にパテが厚めに残ってしまい、ペーパー掛け作業が難航する原因となったのだと思います。
この反省点から、ウッドエポキシで充填箇所以外の場所はできるだけ薄く塗ること、また、余分なパテは乾燥が始まる前に丁寧に取り除いてやることが、楽に上手に仕上げるための否決だと思います。
とはいえ、ウッドエポキシによる補修は、コルクパテを使用する場合に比べて、補修の効果が長期維持できて、かつ水濡れにつよいところが本当に魅力的で、作業の労力を考えても十分オススメできる補修方法だと思います。
気分は新品!修理した甲斐がありました! |
使い込んで味のあるグリップもいいですが、綺麗なグリップだとテンションも上がりますよね。
ご興味ある方は、是非ウッドエポキシを使った補修にトライしてみてください。
この記事でご紹介したウッドエポキシはこれです。
似た名前で「ウッドパテ」という製品もありますが、そちらはウッドエポキシとは異なり水性の商品になるので、ご購入時はお気をつけください。
2022年以降の釣行記は姉妹サイト「スモールフィッシング」に記しています。
よろしければコチラのサイトもご覧になってみてください。
スモールフィッシングの最新記事はコチラ! 続・スモールフィッシングの最新記事はコチラ!なお、現在、Amazonのお買い得釣り具を検索するリンクページ、「密林お買い得情報」を大幅リニューアル中。最新モデル情報も含め、AmazonとYahooや楽天の価格比較もできるよう、より有益なページとなるようデザインを日々見直していますので、こちらもよろしければ是非チェックしてみてください。思わぬ掘り出し物が見つかるかも!