みなさまこんにちは。
今年は7月後半まで長い間雨が続きましたね。
その影響かわかりませんが、私がホームとしている大阪湾奥の干潟では、長雨から回復し急に暑さを増した8月初旬を境に、なかなかシーバスが釣れなくなってしまいました。
今年は長雨による日照不足により植物性プランクトンの増殖が抑えられたことで、光合成による酸素生成が不足して、湾奥全体が酸素不足気味になっているんじゃないかと思います。
例年この時期、湾奥シャローは1年の中でも最も釣れにくい時期ではありますが、植物性プランクトンによる赤茶色の激しい濁りが出る分、光合成による日中の酸素の放出量はそれなりに豊かなのですが、今年はそういった濁りも全くみられず、まるで秋冬の海かというくらい水が透き通っています。
イナッコの生育状況が例年に比べて遅めなのも、その辺に理由があるのかもしれません。
例年だと過剰な植物性プランクトンが大量に死ぬことで赤潮が発生しますが、今年はそれもみられませんね。(なお、植物性プランクトンの死骸はバクテリアに分解されますが、この時酸素が急激に消費されるため、これにより貧酸素水塊が発生し、青潮などの原因になったりします。)
とまあ、前置きが長くなってしまいましたが、今回の話も、例年の夏シーズンであれば外せない、イナッコパターンでのシーバスゲームについて、この時期の攻略法の一例をご紹介したいと思います。
小型ミノーを使った攻略法
以前、以下の記事で、夏のナイトのイナッコパターンで絶大な威力を発揮するトップルアーとその使い方をご紹介しました。
これはこれで、一つのストロングパターンと言える釣り方ではあるのですが、以下のようなシーンではなかなかその爆発力を発揮できないケースもあります。
- 風・波などが強く、ベイトもシーバスも沈み気味
- イナッコの群れは居るが 、水面付近では追われていない
このようなケースにおける攻略法の一つとして、今回は小型ミノーを使った攻略法をご紹介したいと思います。
シュチュエーションと釣り方
シチュエーションは前回記事と同様、夕まずめからナイトにかけて、岸近くのシャローに大量のイナッコが溜まる状況で有効な釣り方です。
こういう状況でボイルが出ているような場合は、迷わずTKRPを投入で良いと思いますが、ちょっと難しいのが風や波が強い状況。
海面が荒れると、どうしてもベイトも海面から若干沈み気味になるし、シーバスも目線が下がる傾向があるので、なかなかトップに出てくれないケースが増えてきます。
このような時にオススメなのが、以下に例示するような小型のフローティングミノー。
- ポジドライブガレージ フリルドスイマー75F
港湾運河からマイクロベイト、特殊パターンに特化したフリルドスイマー75Fが春シーズンドンピシャのタイミングで登場。アクションはローリングに揺らぐようなウォブをわずかにミックス。春先にありがちなアミやバチ、北陸のホタルイカ等の虫系や甲殻類パターンにベストマッチ。初期のハクパターンにも。 - アムズデザイン アイボーン78Fシャロー
「水面直下の10〜20cmをしっかり引けるミノーが欲しかった。」シャロー 攻略のスペシャリストでもあるimaプロスタッフ辺見哲也さんのそんな一言から生まれたシャロー 特化型ミノーiBORN。港湾部や小規模なフィールドでも活躍する78mmサイズは、デイゲームでの使用にも最適なセッティングを施したモデル。 - ダイワ モアザン ソラリア70F
主なターゲット:シーバス、 タイプ:フローティング、 サイズ(mm):70 / 標準自重(g):8.4、 潜行レンジ(cm):0-50、 アクション:スローピッチ ウォブンロール、 飛距離(m):最大 50/平均 49.6、 フック仕様:ST-46#8/リング#2
銘柄を見て、意外と思われた方も多いかもしれません。
イナッコパターンで定番といえば、ウエイク系をはじめとするブリブリと大きな動きでよく動くルアーが中心ですし、例年7月、8月ともなれば、イナッコも既に10cmを超えるサイズに成長しているため、マッチザベイトという観点からも、少しルアーサイズが小さいように思えるかもしれません。(アイボーンに関しては比較的動きが大き目ですが。)
しかし、不思議なことですが、意外にもイナッコが大量に群れているシーンでは、これらのちょっとサイズも泳ぎも控えめに思えるルアーが効く場合も多いのです。
今年はホームグラウンドの浜の水がクリア傾向のため、ナチュラル系とクリアー系カラーを多用しています。お勧めはポジドラのボラカラーとアイマのバンズマスターカラー。 |
この釣り方で大事なところは、ルアーをデッドスローで泳がせること。
エクストラハイギアのリールでいえば、止水状況では2秒から3秒に一回、秒速30〜50cm程度でルアーが泳ぐようなペースです。
一般的なルアーは、秒速30cm程度の水流ではアクションするのが難しいのですが、そのちょっと上、かろうじてルアーが泳ぐくらいのスピードですね。
上記のような小型ミノーでこのくらいの速度域だと、当然ラインもピンと貼る事はなく、下図のように少し撓みが出るような感じになります。
ラインを弛ませすぎることなく、かといって張りすぎることもなく、ティップの上下と合わせてデッドスローリトリーブで水面下10〜20cm程度のレンジをキープできるようコントロールしてやることが肝要です。
もちろん、一言でデッドスローなリトリーブとは言っても、潮の流れが当て潮(立ち位置に向いて流れている)なのか、払い潮(立ち位置から離れる方に流れている)のかによって、リトリーブ速度の調整は必須です。
払い潮(ダウン)にルアーを泳がせている場合は、ルアーが動きすぎたりレンジが入りすぎないようよりスローに、反対に、当て潮(アップ)に泳がせている場合は、ルアーが完全に止まってしまわないよう、潮の流速より若干速めにリトリーブしてやる必要があります。
狙いどころとなるのは、ずばりイナッコの群れが泳いでいる付近。
イナッコの群れを直撃するのではなく、少し離れたところからゆっくり静かに群れに同調させるようルアーを通した方がヒットの確率は上がります。
そして、私が普段釣りするようなオープンエリアの干潟シャローに限って言えば、やはりイナッコの群れが泳ぐ方向、つまり流れの上流にルアーの頭が向くように、クロスからダウンクロス方向にキャストして、ダウンよりにルアーを泳がせる狙い方が釣果の実績が高いです。
ただ、一般的な河川明暗や水中のストラクチャー周りなど、アップから流下させる方が良い場合ももちろん多々ありますので、ポイントの状況にあわせていろいろと試してみてください。
いずれにしてもこの釣り方が有効なのは、イナッコがある程度の数まとまってざわついているような状況です。
もしシーバスが近くに居なかったり、食い気がない場合は、シャローエリアでも比較的沖までイナッコはまばらに分散しますので、釣れそうか否かの判断基準の目安になりますね。
お勧めのタックルセッティング
この釣り方でオススメのタックルセッティングは下図の通り。
あくまでシャローに挿してくるシーバスを狙うため、さほど遠投する必要はありませんので、ロッドは飛距離よりも繊細な操作性とルアー操作の感度を重視して、ショートレングスのものの方が扱いやすいです。
アタリは比較的ハッキリ出ますので、そう神経質に構える必要はありませんが、夏シーズンはギリギリフッコサイズというようなバレやすい小型サイズもよく出るので、フリルドスイマーについているようなやや太軸の#6フックでもしっかりフッキングできるよう、MLクラスのパワーがいいと思います。
このパターンの釣りにちょうどオススメな硬さ、調子のロッドはこちらです。
リールはシーバス用であれば特にこだわる必要はありませんが、一般的にはデッドスローリトリーブはローギアタイプの方がやりやすいので、ローギア・ハイギア両方持っている場合は、ローギアを選択した方が良いと思います。
もちろん、巻き速度の調整に慣れているならば、ハイギアやエクストラハイギアのリールでも全く問題はありません。(私はエクストラハイギアを使っています。)
ラインについては、小型ミノーをデッドスローで泳がせるため、やはりPE、リーダーともに細い方に分がありますが、この時期のシャローではミノーでも往々にしてエイが掛かること、浅いエリアを狙うためゴロタなど障害物にスレがちなこと、また、近距離戦になるシーンが多く、瞬間的な負荷がかかりうることなどを考慮して、PE0.8号、リーダー20lbがお勧めのセッティングです。
リーダーは若干太めの方が水抵抗でルアーがわずかに浮き上がりやすく、より浅いレンジを攻めやすいということも考慮しての太さです。
まとめ
今回も夏場のナイトゲームにおけるイナッコパターンでのシーバスの攻略法についての記事でしたが、前回記事とは違い、水面下に少しレンジを入れた展開にフォーカスした狙い方をご紹介しました。
この釣り方が成立するのはシャローにイナッコの群れが溜まっていることが前提条件になりますが、多すぎるイナッコの中、定番の攻め方ではシーバスがなかなかルアーに口を使ってくれないような状況でも、案外簡単に食わせられるメソッドだと考えています。
今回記載の釣り方でキャッチした小型シーバス。フリルドスイマー75Fで。表層でボイルが出ない状況では是非試してみてください。 |
ちょっと小型のルアーで、デッドスローリトリーブで弱々しくアクションさせることで、却って捕食者であるシーバスからは目立って食べやすそうなエサに見えるのかもしれませんね。
釣れる魚のサイズは選べませんが、風はあるけど流れが無かったり、ベイトが沈み気味の時、ウェイク系やトップなど定番のルアーに反応が乏しい時などに、「次の一手」としてぜひ試してみてください!
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