2018年に購入したシマノのシーバスロッド、エクスセンスインフィニティS906M/RFを先日超ひさびさに使用してみました。
もともとこのロッド、秋のハイシーズンの大物対策として購入したのですが、 普段私は、ほぼ一か所の釣り場、阪神間激戦区の西宮市にある湾奥サーフでスレっからしのフッコばかりを相手にする釣りが日常なので、Mクラスのロッドが必要になるシーンは秋のハイシーズンの一瞬、期間にして年間わずか50日間程度だけ。
そういう理由から、シーバス専用ロッドのMクラスを購入したこと自体が実に十数年振りのことで、「エクスセンス」シリーズが誕生してからは初めての購入でしたが、やっぱりこのロッドの出番は必然的に少なく、特に2019年以降の秋シーズンはホームの浜にマイワシやサヨリの回遊も無かったことから、それぞれ年間1、2回程度しか使う期間がありませんでした。
せっかくいいロッドなのに勿体ない話ですね~。
しかし、先日久しぶりにこのエクスセンスインフィニティS906M/RFを使ってみて、やはり素晴らしいロッドだなと感じたので、今回はこのロッドの長期使用を経てのインプレッションをお送りしたいと思います。
ここ3,4年の間に、8ft以上のシーバスロッドとしてはシマノのワールドシャウラ2831R-2、2832RS-2、エクスセンスインフィニティS906ML/RF、エクスセンスジェノスS810ML/R、S87L+/F、ヤマガブランクスのバリスティックTZ/NANO 92MLなど複数のロッドを使い比べてみたので、それらとの比較なども交えて記したいと思います。
エクスセンスインフィニティ S906M/RFとは
シマノから2017年に初登場した最高峰シーバスロッドシリーズがエクスセンスインフィニティ。
ルアーマチック→ソルティステージ→エンカウンター→ディアルーナ→ルナミス→エクスセンスジェノス→ エクスセンスインフィニティと続くシマノシーバスロッドのヒエラルキー構造の頂点に立つロッドシリーズです。
どんなロッドなのか、インフィニティシリーズに共通の紹介文をシマノサイトから引用してみましょう。
「エクスセンス∞」に課せられた命題は、シマノが持ちうるロッドテクノロジーを高次元に融合させ、これまでの限界を超越するシーバスロッドの創造。
新設計ブランクスとスパイラルXコアの相乗効果が、「軽量化=強度低下」の常識を打ち破る驚きの高強度を実現。
独自計上のカーボンモノコックグリップは、中空構造による軽量化と感度の向上をもたらした。
新たに仲間入りしたロングディスタンスモデル、2アイテムには、空気抵抗の激減により飛距離&キャストフィールを向上させ、摩擦とトラブルからラインを守るXガイド エアロチタンを搭載。
シーバスシーンの新たな革命は、継続している。
王道を往く、6つのアイテム。
「エクスセンス∞」のラインナップは、絞り込まれた6アイテム。
ロッドアクションはバーサタイル。
ロッドのわずかな性能の違いが結果に現れる、そんな成熟した、難しく、面白いフィールドを前提にした設計だ。
ワイルドなフィールドはもちろんのこと、激戦区にこそ投入、ポテンシャルを実感してほしい。
微かなルアーの振動や潮流の変化を鮮明に伝達。
さらにその特殊形状によってキャストやファイト時のグリップ性能も向上し、より高精度のパフォーマンスを発揮。
あらゆる性能を徹底的に研ぎ澄ましたエクスセンス∞が、成熟するシーバスゲームに新たな革命を起こす。
インフィニティは技術特性の面では、以下のような仕様になっています。
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ブランクス
ナノアロイテクノロジーを採用したトレカT1100G素材のブランクスに、スパイラルX、ハイパワーXを採用。さらに、ブランクスの焼成工程で使用する成型テープのラッピングを極小ピッチで施す「ナノピッチ」を採用することで、ブランクスをより均一な圧で締め上げるため真円度が高まり高強度化を図っています。
なお、2ピースの継ぎ目は最もコストのかかるインロー継ぎを採用し、ブランクスの曲がりに追従して芯材も曲がるようアイテムごとに専用設計された「アクティブフェルール」が採用されています。
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ガイドパーツ
トップガイドには放熱性と耐摩耗性に優れたSicリング、他ガイドには軽さとライン抜けに優れたトルザイトリングを採用し、軽さに優れたチタンフレームで装着しています。
2018年以降に登場したS1000ML/RFとS1000MLに関してのみ、バットガイドにはジェノスと同じ「Xガイドエアロチタン」が採用されています。
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その他パーツ
グリップ部分はフロントグリップ、リールシート、フードの段差を細部にいたるまで徹底的に排除し手に吸い付くような高次元のフィット感を実現した「エクスフィットシーCI4+」が採用され、リールシートナットには肉抜きされたメタルリングが用いられています。
カーボンモノコックのリアグリップはインフィニティ独自の形状で、斜めにカットされたエンド部にはエンドバッヂが装着されています。
また、ロッドをまっすぐに継ぐためのジョイントマーカーである「SET POSITION」や、フックキーパーも標準装備です。
こんな感じで、発売当時の2017年時点のシマノのロッドテクノロジーの粋を集めた仕上がりになっているロッドが、エクスセンスインフィニティというわけです。
私はこのシリーズ中、S906ML/RFとS906M/RFの2本を購入して愛用していましたが、今回ご紹介する「S906M/RF」がどんなロッドであるかは、再びメーカー解説文を引用してみましょう。
ランカーシーバスを制するパワーと、70~80m先にあるルアーの振動を鮮やかに伝達するセンシティビティを兼ね備えたパワーアイテム。大型プラグやバイブレーション、ブレードベイトなど、重量があるルアーを得意とする。港湾、沖堤、サーフ、干潟とあらゆる場所で幅広く活躍する、高次元の汎用性を発揮する一本。
(シマノ エクスセンスインフィニティ製品サイトより引用)
なお、このロッドのスペック表は、以下の通りとなります。
品番 S906M/RF 全長(m) 2.9 継数(本) 2 仕舞寸法(cm) 148.7 自重(g) 132 先径(mm) 1.5 適合ルアーウェイト(g) 6〜38 適合ラインPE(号) 0.6~1.5 リールシート位置(mm) 408 カーボン含有率(%) 98.1 本体価格(円) 76,000 商品コード 37951 1
(シマノ エクスセンスインフィニティ製品サイトより引用)
Mクラスで9.6ftというロングロッドの類になるため、私が普段メインフィールドとしている湾奥干潟などで普段使いするにはちょっと大げさ気味なロッドかもしれませんが、大河川や広大なオープンエリア、外洋が近いフィールド、沖堤防など、全国的に見た時には活躍するフィールドが最も多いのがこのレングス、パワー感のロッドと言えるのではないでしょうか。
手にした印象
上述のメーカー解説文を読んでいると、なんとなく剛竿というイメージを持ってしまいますが、それに反して、このロッドを手にとってみてまず感じるのは「軽さ」。
ともに9フィート6インチのS906ML/RFが128gで、このS906M/RFはMLに比べて4g重量増の自重132g。
両者の重量差は持ち比べてみてもほとんど違いが分かりませんが、いずれも間違いなく同レングスのシーバスロッドとしては2021年の今でもトップクラスの軽さです。
しかし、エンドグリップを持って振ってみると、コレだけ軽いにも関わらずブランクスがダレた感じは微塵もなく、ピンと背筋が張ったかのような明確なハリ感、シャッキリ感を感じさせるとともに、漲るような力強さを感じさせます。
一方で、天井に当ててティップを曲げてみたり、ラインを通して引っ張ってみると、Mというパワー表記と思えないくらいティップはしなやかに良く曲がる。
同じエクスセンスジェノスのMLクラスS810ML/Rはおろか、L+クラスのS87L+/Fよりも、ティップ部分に関しては明らかにしなやか。
もともとインフィニティは同パワークラスのジェノスに比べてもティップは細めで、先径はMLだと1.4mm、Mでも1.5mmという細さなのですが、その見た目どおり、ティップ部分は非常に繊細でしなやかな特性と言えそうですね。
ただ、ブランクスを曲げこんでいったときに感じるパワー感は非常に大きく、Mというパワー表記以上の力強さや頼もしさ、安心感のようなものを感じさせてくれます。
キャストフィール
キャストフィールは手にした時に予感した通り非常にシャープで、30g以上の重めのルアーの投げやすさではMLよりもMに分があるのはもちろんですが、意外とアイマのアイボーン78Fや邪道のアーダ零イノベーターのような軽量プラグでも非常によく飛びます。
適合ルアーウエイトはS906ML/RFが5g〜32g、S906M/RFが6g〜38gということで、結構両者でカブッているといえば被ってるのですが、6gからという表記の通り、S906M/RFでも軽量ルアーのキャストはノーストレスです。
最も飛距離が出しやすいのは10g台後半から20g台前半くらいのルアーでしょうか。
ルアーのタイプ、空気抵抗の大小で変わりますが、ロッドの反発力を活かしたフルキャストはもちろん、テイクバックからの軽い振りでも驚くほどの飛距離をたたき出します。
ロッド重量が軽いことで、振り抜き時のヘッドスピードが上げられるのはS906ML/RFでも同様ですが、このS906M/RFではさらに反発力を活かしたビシっとした初速の速いキャストが可能で、このような投げ方が出来ればルアー次第ではかなり飛距離も向上します。
キャスト後のブレの少なさやティップの収束の早さはエクスセンスジェノスシリーズのロッドや、他社製ロッドと比べても文句なしに上で、シーバスロッドとしてはトップクラスだと思います。
なお、扱うルアーウエイト、タイプにもよるのでしょうが、キャスタビリティに関しては、トータルでみてS906ML/RFよりもS906M/RFの方が一枚上手な印象を受けました。
ただし、Mの方が硬い分、キャスト時にロッドを曲げるのにパワーを要するため、数時間キャストを続けた後の体の疲労感は大きいですね。
私の普段の釣りスタイルのように、キャスト回数が多い長時間の「粘りの釣り」にはMLの方が向いているかと思いますね。
操作性と感度
エクスセンスインフィニティは軽くてハリがあるロッドであるため、ルアーの操作性は非常に高いです。
ミノー、シンペン、トップウォーター、バイブレーション、ブレード系、ワームなど、様々な種類のルアーを過不足なく使えるバーサタイル性がこのロッドの特徴の一つですが、特にS906M/RFで素晴らしいなと感じたのはバイブレーション使用時の操作性。
インフィニティは9.6ftながら、ジェノスのS810ML/Rのような9ftロッド並みにトゥイッチ、ジャークといったルアーの操作性は高く、S906ML/RFでもそれなりに高いレベルだと思っていましたが、このS906M/RFは、ハリと硬さがプラスされる分、さらにその操作性に磨きがかかった印象です。
私が普段釣りをするシャローの浜辺でよく使う、邪道の冷音14gやバスデイのレンジバイブ55TGクラスのウエイト、引き抵抗のルアーなら、S906M/RFのハリはベストマッチじゃないでしょうか。
シマノのサルベージなどでも、無印60ESやソリッド60ESならバランス的にMLの方がよさそうですが、70S、70ES、ソリッド70ES以上ならリトリーブ抵抗を考えると間違いなくMの方が快適に操作できます。
しなやかではるものの適度なハリと硬さを持つティップは、遠距離での着底やリトリーブ中のボトムコンタクトなどもビビッドに捉えられますし、バイブレーションアクションを殺さずちょうどいい塩梅で引き出していると思います。
これは流れの釣りにおけるミノーなどでの釣りでも然りで、やはり適度なハリと硬さゆえに非常に感度がよく、ミノーのアクションが手元に伝わりやすい。
特にロンジンのフランキーのような可変アクションのミノーを使っている時は、流れに差し掛かった際のルアーの挙動変化も明確に手元に伝えてくれ、極めて優れた感度だなと感じました。
このように感度がいいとかハリがあるとか褒めていますが、このインフィニティの使用素材である東レのトレカT1100G、比較的新しい素材ながら実は33tカーボンで、世間的にはいわゆる「中弾性」カーボン。
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S906ML/RFの恐ろしいまでの曲がり!(画像はシマノHPより借用。) |
おそらくこれはインフィニティのプロモーション画像にある通り、曲げ込んだ時の限界強度、粘り強さを兼ね備えるためのチョイスだと思いますが、この中弾性カーボンでこれだけのハリや感度を纏わせているというのも実にお見事と言えますね。
操作性という意味ではもう一つ、アイマのプガチョフコブラやチャッピー80といった、小型のペンシルなどもこのロッドで使ってみましたが、9.6ftという長尺でありながら、これら小型ルアーでも全く不満なくアクションさせることが可能ですね。
実際にロッドを操作している時の感覚は、半フィート短いS810ML/Rなどの使用感に近いもので、ロングロッドが苦手(嫌い)な私でも安心して使う事ができます。
なお、インフィニティ独自の形状をしたカーボンモノコックグリップ、感度やインフォメーション性能の高さはいまさら語る必要は無いかと思いますが、その見た目に違和感を覚える方も多く不人気だったのか、後発のジェノスでは丸形断面の形状が採用されています。
しかし、実際に使い比べてみると、圧倒的にインフィニティの形状の方がフィット感、操作性ともに高く、使い勝手がいいですね。
魚とのファイト
このロッドは大物相手に購入したロッドなのですが、残念ながらこのロッドではまだランカーは釣れていません。
しかし、主にサヨリパターンシーズンを中心に、長さこそランカー未満でもぼってり太った重めの70cm台の魚はかなり釣ったので、魚とのファイトの感覚は十分掴めています。
フッキング性能は非常に高い
まずはフッキングについてですが、ティップ部分は柔らかめながら、やはりベリーまで少し入りこむとかなりそこから格段にパワーが出てくる調子なので、力を込めてフッキングした瞬間、手元にもはっきりとその強い反力が感じられます。
フッキング時のパワーロスは当然S906ML/RFより少なめで、#4のMHクラスのフックでも一発でバッチリフックアップが決まるイメージですね。
もちろんメインライン、リーダーの号数など全体のバランス次第の話ではありますが、どちらかというと、S906ML/RFは相対的にスイープなフッキングや食い込みの良さが必要なシーンに適していそうなのに対し、S906M/RFはシャープに積極的にフッキングするのに向いているような気がします。
しなやかなティップはショートバイトに対しては、魚の口回りにフックが残る瞬間を少しでも長引かせてくれる効果があるため、フックアップ率が向上するのか、ハリのあるロッドであるにも関わらず不思議と弾いたりフッキングミスすることは少ないですね。
それでいて、一定の負荷が掛かるとすぐにしなやかな領域を通り越しベリーが荷重を担うようになる特性があるため、表層系ルアーを使った豪快な水面爆発バイトがあった場合においてもフッキングをミスる確率は他ロッドに比べてかなり低め。
総じて、フッキング性能は、能動的に掛けに行くシーン、向こうアワセで掛かるシーンいずれにおいても非常に高い、一級品のロッドなのは間違いありません。
驚愕のリフティングパワー
小型バイブレーションで大型アカエイや地球(笑)にも何度もフッキングもしちゃいましたが、そんな時も普通にロッドを立てて、曲げてテンションをかけてファイトたら、ST-46の#10フック程度であればゲイブを曲げてルアー回収できるというほどなので、曲げ込んだ時のリフティングパワーはシーバスロッドとしてはかなりのものだと思います。
それだけのパワーがありながらも、しなやかに良く曲がる、懐の深い曲がりがこのインフィニティの魅力の一つ。
とはいえ、50cmクラスの魚が相手では、S906M/RFはやはり若干オーバーパワー気味かなという印象で、フッキングした後、魚がいとも簡単に取り込めちゃうので、正直使っていてさほど面白くなく、フッコクラスの魚相手では、やはりMLの方がやりとりが楽しいかなとは思います。
ただ、流れに乗ったファイトをするリバーシーバス狙いや、雨後増水時など暴力的なバイトをする高活性の魚相手、また、疲労後の酸欠による魚の死亡を防ぐためのゴリ巻きファイトが必要となる真夏シーズンの釣りなどでは、このクラスの魚相手でもMでちょうどいいかと思います。
一方で、秋の70cm以上クラスの魚相手だと、シーンによらずパワー感はちょうどいい感じ。
ファイト中のS906M/RFは終始よく曲がってテンションを維持してくれ、急なツッコミやエラ洗いに対してのベリーの追従性も素晴らしく、フッキングさえバッチリ決まっていれば、全くバレる気はしません。
個人的な好みで言うと、もう少し胴から入って曲がってくれるロッドの方が「ファイトを愉しむ」という意味で好みではありますが、インフィニティのRF(レギュラーファースト)のアクションは、魚との距離に関わらず、ファイト中の魚のコントロール性は抜群に高いですね。
それでいていざ高負荷になればしっかり曲がり込んでくれるタイプので、大物との力勝負になった時でも極端なファーストアクションのロッドに比べて、のされ気味になる心配もありません。
曲げ込んだ時の本気のリフティングパワーも試してみたかったのですが、残念なことにランカーシーバスはそうそう思うように釣れません。
しかし、大型アカエイをいとも簡単に海底から引っぺがすリフティングパワーを持つこのロッドなら、80オーバーどころか90オーバー、いやメーターサイズでも余裕で戦えるのではないかと思えてなりません。
完璧なロッドだが若干気になる点も
ここまでインプレを読んでいただいた方には、このエクスセンスインフィニティ、やはりシマノが持てるテクノロジー全てを注ぎ込んで作った最高峰ロッドらしく、ロッドに必要とされる「投げる」「掛ける」「獲る」全方位において不満が感じられない、完全無欠のロッドであるように感じられるかもしれません。
しかし、それはある意味正解ですが、ある意味では不正解。
やはり使い込んでいると、気になる点はあるにはあるのです。
それは、あくまで感覚的な話ですが、「ロッドのもち味」のようなもの。
昔、レクサス車が出た時に、何種類か運転させてもらったことがあります。
今のレクサス車はそんなことはないのでしょうが、当時のレクサス車はどれも、そこそこお金のかかった高性能で作りのいい車なのは理解できましたが、どこか無味無臭というか、運転する「愉しさ」や「味わい」といった意味で、なにか物足りなさを感じさせられたことを覚えています。
シーバスロッドの王道アクションを目指したというインフィニティも、長く使い込んでいると、どこかそれに相通じるような感覚を覚えてしまいます。
決してなにか劣っている部分があるのではない、完成度の非常に高いロッドではあるのですが、ちょっと使っていて感覚的な面白みに欠けるような気がするのです。
それがあるので、普段の私のシーバス用のメインロッドはエクスセンスジェノスのS810ML/Rにしている次第。
スペック面でも実釣性能面でも間違いなくインフィニティの方が上なのですが、少しクセがあり個性的、悪く言えば欠点も見え隠れするS810ML/Rの方が、使用していて味わい深く、愉しめるというのは、個人的感覚としては否めない事実です。
そうであるから、以下記事でも、ジェノスの方がランキング(個人的評価)は上というわけですね。ちなみに、ジェノスS810ML/Rとインフィニティを比べると、ファイト中に魚がエラ洗いで飛ぶ確率はインフィニティの方が上、より魚を跳ばせるタイプです(笑)
さらにいうと、「跳ばせない」能力?に関しては、ヤマガブランクスのバリスティックなどには遠く及ばないことは言うまでもありません。
まあこのあたりはメーカーごとのキャラクター、特色の違いのようなもんですかね。
エクスセンスインフィニティS906M/RF インプレまとめ
今回はエクスセンスインフィニティS906M/RFの長期使用を経たインプレッションをお送りしましたが、いかがでしたでしょうか。
結論からいうと、このインフィニティS906M/RF、最近使用頻度は落ちているといいつつも、個人的には買って大正解のロッドでした。
レギュラーファーストのクセのない調子に、比較的軽量級から重量級までストレスなくキャストできるキャスタビリティ、高い操作性、抜群の感度とフッキング性能、そしてファイト時の芯の強さを感じさせるゆとりあるパワー感と、必要な性能はいずれも非常にハイレベルでトップクラス。
今やシーバスロッドは釣具の中でも結構な稼ぎ頭なのか、ロッドはそれこそ山のように種類があり、奇を衒ったキャッチコピー、売り文句が蔓延、雑誌のロッド紹介記事などではありとあらゆる不可思議な横文字テクノロジー・ワードで埋め尽くされています。
しかし、よくよく考えてみると、そんな中にあって突出した個性が感じられないシーバスロッドの王道を行くような味付けで、頂点の性能を目指したこのインフィニティ、その潔いまでの「ど真ん中っぷり」が、いまの時代ではかえって輝く個性と言えるのかも知れません。
例えるならいい食材を存分に使って腕のいい料理人が作った食事のように、多くの言葉で形容しなくても食べれば一言「美味い」と思わず言ってしまう、そんなロッドなのです。
エクスセンスインフィニティS906M/RF、シマノの本気が十分伝わってくるロッドで、「ハイエンドだからイイ」のではなく、「この性能ゆえにハイエンドなのだ」と言えるロッドでしょう。
登場からもはや4年もたってしまった2021年現時点でも、充分「買い」なロッドだと思います。
そろろそ次期インフィニティへのモデルチェンジが聞こえてきてもおかしくない時期で、セールス面やジェノスのモデルサイクルを考えたら来年2022年が次期モデル登場か?と予想されますが、現行からスペック面でも採用テクノロジーでも大きなジャンプアップは見込めないので、もしかしたらもう一年、2023年あたりまで引っ張る可能性もなきにしもあらずですかね。
個人的には、次期モデルでジャスト9ftかそれ以下の短めレングスのMLクラスが出たら、追加で買おうかなと考えています。
出ないと思いますが、Lクラスが出たら即買いですかね。
最後に、初めてインフィニティの購入をお考えの方に、比較的スペックが近い「ML」と「M」、どちらを先に買えばいいかについて書いてみたいと思います。
初めて手にしてちょっと振ってみた段階では、正直S906ML/RFとS906M/RFは棲み分けができていないような、同じようなロッドかなと思いましたが、実釣で使ってみるとそうではないと言うことがはっきりわかりました。
あくまで個人的な印象ですが、S906MLは、PEライン1号以下/リーダー20ポンド以下/フックサイズ#6以下で、S906MはPEライン1号以上/リーダー20ポンド以上/フックサイズ#6以上でそれぞれベストなセッティングになるように思います。
対象魚のサイズや個人の釣りスタイルとかにもよりますが、上記どちらのタックルセッティングに軸足を置くかによって、MLとMを選べば良いと思います。
どっちの方がよりインフィニティ色が濃厚かと問われたら・・・・あえて言うならやっぱりS906M/RFの方ですかね。
個人的には、夏までのシーズンはS906ML/RF、晩夏から秋のシーズンはS906M/RFがメインのロッドになる感じで使い分けしてきましたが、ワールドシャウラ2831R-2と2832RS-2の使い分けにもちょっと似通った感じですね。
いずれにせよ、S906ML/RFとS906M/RFの2本があれば、大抵の地域の大抵の釣り方は高いレベルでほぼほぼカバーできるのではないかと思います。
もうモデル末期であまり生産していないのか、なかなか入手しにくいロッドになってしまいましたが、ここまで書いてきた通り間違いの無いロッドなので、気になる方は是非実際に手に取ってみてください。
私のようなオッサンには、ハリのある長尺ロッドは若干ツラいのでついつい安楽なロッドに逃げてしまいがち(笑)ですが、特に若い人、体力に自信のある人、キャストに自信のある人、シーバスフィッシングに掛ける気合と意気込みが大きい人には、絶大な武器になってくれるロッドだと思います。
ということで、今回のお話はおしまい。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
(追記)
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