みなさまこんにちは。
今回は、ひさびさに手にして興奮したシーバスルアー、ロンジンの「IGK73」について、インプレッションしてみたいと思います。
どんなルアー?
ロンジンから2023年春にリリースされた「IGK73」は、I字系のフローティングミノー。
2021年に既にリリースされていた、「IGK96」のダウンサイジング版ですね。
2023年5月15日時点で、製品としては既に販売されているものの、まだロンジンのサイトにはこのルアーの製品ページが存在しないようです。
ということで、どんなルアーなのかを知るために、製品パッケージの裏面より解説文を引用してみましょう。
I字系ノーアクションミノーが偏食ベイト攻略の可能性を広げる
【飛び】ウキ姿勢を左右するリアウエイトを絶妙な位置に配置し、アクションにも重要な背びれとの相乗効果で安定した飛行姿勢と飛距離を実現。軽量ですがストレスなく投げられます。
【泳ぎ】最大の特徴は一切横振れのないストレートに動くI字系アクション。スローリトリーブではV字波紋を出した水面直下攻略、水をつかませてレンジを入れてからのスロー~ミディアムリトリーブでは一定層を直進移動するベイトを演出。バチ抜け、稚鮎、ハク、サヨリなどの細身微波動ベイトの偏食パターンにも有効です。
(ロンジン IGK73 製品パッケージより引用)
なお、IGK73の基本スペックは以下の通りです。
- Length:73mm
- HookSize:#8
- Type:フローティング
- Range:0~20㎝
- Weight:5.2g
- RingSize:#2
- Action:I字直進ノーアクション
カラーラインナップは以下の通り13種展開。ナイトゲームを意識したカラーが多いですね。
(キングフィッシャー ロンジン IGK73 製品ページより引用)
手にした印象
IGK73はその名の通り73mmと結構小型。
一昔前は湾奥シーバスでは7cmミノーって結構ありましたが、最近は7cmって比較的少ないですよね~。
そんな少ないサイズ感で、なおかつフローティング、かつI字形というルアーはかなりレアキャラではないでしょうか。
そんなIGK73、手に取るとやはりこのサイズでフローティングだけあって軽い。
それもそのはず、ウエイトはたった5.2g。
私の購入したクリアボディのものでは、ボディ後方下部に配置されたウエイトが丸見えですが、そのサイズもボディ気室容量に対して非常に小さいものです。
手にしてパッと目につく外見上の特長といえば、顎のラインに対して鋭角に配されたフロントリップと、大き目の背びれ。
リップに関しては、昔あった(今もあるのかな?)ハルシオンシステムの「ゴッツォ」というミノーのそれを彷彿とさせますね。
これだけ鋭角に付けられていると、おそらく水をうけてサイドから流すような造りになっていると想像されます。
背びれの方は、体高の最後部よりも先端がさらに高い位置にあるので、このルアーを水面ギリギリで水平移動させると、おそらくはコレが水を切ってV字の引き波を作ってくれるのでしょう。
デフォルトで付属するフックは比較的太軸の#8、リングサイズも#2と、このサイズ感のルアーにしては不似合いなくらい、かなりしっかりしたものがついており、これも目立ちますね。
これなら、MLクラス以上のシーバスタックルでドラグ強め設定でも、フックを曲げられたりすることは無いでしょうし、フッキングも良さげです。
メーカーによると、#6フックまで背負える設計になっているそうですが、#6にフックチェンジするとスローシンキングになるそうです。
なお、ボディは横から見るとレビンミニをスリムにしたようなベイトフィッシュライクなフォルムですが、正面から見ると比較的薄型の作りをしていて、先述通り大型フックを背負ってはいるものの、やはりフィネスルアーの部類に入るんだろうなという印象です。
ベイトサイズが小さい春から初夏シーズンに良さげなルアーだとの印象を受けました。
キャストフィールと飛距離
73mmサイズで5.2gフローティングと、コレは飛ばすのは難しいだろうという要素満載のIGKですが、実際に投げてみると「飛ばない」という感覚はありません。
モアザン ブランジーノEX
AGSの87LMLに、ステラC3000XG、またはヤマガブランクスのブルーカレント85TZ/NANOにヴァンキッシュC2500SXGの組み合わせに、8本撚りPEライン0.6に14ポンドリーダーという、湾奥でのバチ、マイクロベイトシーズンのスタンダードともいうべきタックルバランスでの実釣に臨みましたが、このバランスでイイ感じに実用飛距離が出せています。
さすがに軽量、固定重心なので、ぶっ飛びというわけではありません。
特に、身の詰まったシンキングペンシルなどと比べると絶対的な飛距離では苦しいところですが、意外とストレスの無い範疇の飛距離だと思いますし、キャスト時のフィーリングもそこまでスカスカ感はありません。
まあ、このサイズとウエイト、そしてフローティングであることを考慮すると、横風などの条件下でも十分すぎるくらい実用的な飛距離が出せていると思います。
ロンジンのルアーは、フランキー90など他のミノー類もそうですが、ボディの形状、空力設定がよくできていて、それにより飛行姿勢が安定するため、特別な重心移動機構などを持たなくても意外と飛びのいいルアーが多いような気がしますが、このIGK73もその例にもれず、ウエイトで飛ばすというよりも空力の良さで飛ばす類のルアーではないかと感じました。
なお、着水音が静かであることも印象に残りました。
流れの弱い状況下や澄潮、満月時などでのフィネスなアプローチにも向いていますね。
レンジとアクション
IGK73の浮き姿勢は、まるでトップウォーターペンシルのような60°~70°の立った浮姿勢。
デフォルトのフックで海水での条件下では、リップの付け根付近に喫水線が来るように浮きますが、これが港湾バチ抜けパターン時の「ほっとけメソッド」でも有効だそうです。私はやりませんが。
この浮姿勢から、リトリーブしてリップが水をつかむことで、後方重心となるウエイトとのバランスが取れて水平姿勢で泳ぎますが、その泳ぎは「IGK」のネーミングの由来通り、完全なI字系のノーアクション。
スローなリトリーブでは、水面直下ギリギリで、背びれの先端部分が水面上に出てV字波紋のきれいな引き波を立てて泳ぎます。
ただ一口にスローといっても、当然水を受けるとレンジは入るので、ダウンクロスなどでは相当ゆっくりしたリトリーブでないとこのV字波紋は出ないでしょう。
そのように潮が当たった状態や、速めのリトリーブをした場合、使った印象ではレンジは最大20㎝程度まで入る感覚です。
個人的に使ってみて感心したのは、このレンジキープのさせやすさ。
フローティングI字系のルアーの最大の強みは、シンキングペンシルには真似のできないデッドスローリトリーブであっても、水面あるいは水面直下のレンジをキープできるところだと考えていますが、このIGKは、おそらくはボディデザインと特徴的な形状、角度のリップのなせる業だと思いますが、しっかりとリトリーブ抵抗を感じて一定のスピードで一定のレンジをとてもキープしやすいのです。
フローティングI字系またはそれに類するルアーは他メーカーからも出ており、私もこのジャンルのルアーを多数試しましたが、IGK73はその中でも73mmという最小のサイズながら、それら同種のルアーの中で最も扱いやすく感じたルアーです。
特に、流れに対してクロスでルアーを流すような場合、リップの効果なのか、ルアーが水中で踏ん張ってくれるイメージがあり、リップレスのI字系ルアーなどより格段にルアーコントロールがしやすく感じました。
リトリーブスピードや潮のあたり具合、ロッドの角度などで、レンジコントロールをさせやすく、なおかつ狙ったレンジをトレースできる能力は非常に優れていると思いました。
どんなシーンで有効か?
このIGK73、初購入してすぐに実戦投入しましたが、実戦投入後早々にいいサイズのシーバスを連れてきてくれました。
その時の釣行記は上記記事の通りですが、当日は潮位が低いところからの上げ潮で、海バチの抜ける時間帯ながら、バチ系の定番ルアーでは反応がなく、先行者曰く巻かずに流すルアーに反応が良い状況。
目前に良い潮目が見える状況で、私自身もフィールやマニックなど定番ルアーで反応が得られない中、IGK73を試してみたところ早速ヒットが得られ、その後も立て続けにバラシはしましたがこのルアーにバイトが集中しました。
ルアーなので、当然一本ですべての状況に対応できるようなものはなかなかないと思いますが、小型、I字形、フローティングというこのルアーが備える条件がドンピシャでハマる状況というのは確実に存在すると思います。
またそこまで使い込んだ訳ではないので、そこまで分かってはいないですが、このルアーが活躍するであろう状況を想像を交えて記すと、遊泳系の長バチ、クルクルバチのバチパターンや、稚鮎、ハク、その他稚魚系、アミなどのマイクロベイトパターンなど、主に厳寒期から初夏シーズンまでが、一番このルアーが活躍してくれそう。
そういうシーンの中でも、スピードやアクションはその日その日の状況でマッチするものが変わって来ると思いますので、スイングやスラローム、ロール系アクションのルアーなどと一緒にこのIGKも持っておくと、アクションの質違いで、その日のアタリパターンにハマる可能性もより高くなるのではと思います。
特に遊泳系のバチや、水面付近をスクールするマイクロベイトをナチュラルに模すには最高のルアーではないかと思います。
小型でI字系の泳ぎということで、当然遠くの魚に存在を気づかせるようなアピール力は期待できず、魚の付近を通過させたら食ってくるというイメージになってしまうと思いますが、そもそもバチや稚魚系ベイト、アミの類は一般的なミノーのようにブリブリお尻を振って泳ぐなんてことないですよね。
ロンジン IGK73 インプレッションまとめ
さて今回は、ロンジンから2023年に発売された新作I字系ルアー、IGK73についてのインプレッションをお届けしましたが、いかがでしたでしょうか?
私はいままでI字系ミノーは若干苦手で、信じて使い続けることがなかなかできませんでしたが、このIGK73を手にして、すっかりその魅力に取りつかれ、その威力の信者になってしまいました。
どんな状況でも万能という訳ではありませんが、コレは絶対釣れるルアーだと思います。
ということで、早速3つ追加注文w
さらには、兄貴分であるIGK96の方も、3つ注文してしまいました。
出会った時期が5月中旬と遅かったのが悔やまれるくらい。
もっと早くにこのルアーに出会っていれば、今年のバチシーズンはもっと楽しめたかもしれません。
でもまだまだ、地元阪神間では終盤とはいえ難攻クルバチのシーズン真っ只中ですし、マイクロベイトパターンもまだまだ。
ハクの成長もコレからなので、リアル系カラーを中心にハクパターンでも活躍してくれそうですし、年末ごろからの厳寒期のフィネスな釣りでは、クリア系カラーを中心に確実に活躍してくれること間違いなしでしょう。
ということで、ここしばらくはおそらくこのルアーに夢中になってしまうと思います。
I字系ルアーの威力をよくご存じの方も、私みたいにイマイチ信用できないなと思っている方も、是非一度手に取ってみてください。
コレは、いいと思います。
ということで、今回のお話はこれまで。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
2022年以降の釣行記は姉妹サイト「スモールフィッシング」に記しています。
よろしければコチラのサイトもご覧になってみてください。