この記事では、「1〜3月の冬シーズンにおけるシーバスの狙い方」と題して、前編では冬シーズンに有効なフィネススタイルのシーバスフィッシングについて、シーズンにおけるシーバスの動き、この時期独特の狙い方や有効なおススメルアーについて解説しました。
前編にひきつづきこの後編では、具体的なタックルセッティングや当記事のまとめを記します。
使用するタックル
1月から3月にかけての低水温期のシーバスは、ハイシーズンに比べてヒキが確実に弱めであること、またセイゴフッコクラスの魚が多いこと、軽量ルアーを遠投すること、小さなルアーで流れを感じる必要性があることなどから、使用するタックルに関しては、メバル釣りなどのライトタックルを活用したフィネスなセッティングがおすすめです。
具体的には、ロッドは適合ルアーウェイト1〜10g程度の長めのライトゲーム ロッド、リールはシマノならC2000番~C2500番サイズといった小型のもの、ラインはPEの0.3号からMAXでも0.6号、リーダーは7lbsから8lbs、1.7〜2号といった感じです。
ラインやリーダーが太すぎたり、ロッドが硬すぎたりすると、小型ルアーの飛距離を出せなかったり、動きが悪くなったり、ラインブレイクやフックの曲がりを発生させてしまったりと、デメリットが多くなるので、スナップやフックも含めたトータルのタックルバランスを吟味することが非常に重要になってきます。
以下では一例として、私がこの時期の釣りで愛用しているオススメのタックルセッティングをご紹介します。
ロッド編
ロッドはこの時期、もはやシーバス専用アイテムは使いません。
使用するルアーやそれに付いているフックなどに合わせた、シーバス用としてはややアンダーパワーなものを用います。
シマノ ワールドシャウラ2750FF-2
この時期のフィネスなシーバスフィッシングにダントツでおススメなのがこのロッド、ワールドシャウラの2750FF-2。
具体的にどういうところがおススメなのかは、以下の記事に記していますが、厳寒期からバチパターン、マイクロベイトパターンの繊細な釣りに最適なパワーランクでありながら、遠距離でのフッキングも可能なベリーと、大型が掛かった時にも安心なバットパワーの強靭さが魅力のロッドです。
イメージとしてはメバリングロッドとシーバスロッドのハイブリッドといった感じですかね。
個人的にはこのロッドと、’18ステラC2500SXGの組み合わせがこの時期のシーバスフィッシングにはベストなタックルだと思っていますが、ここでご紹介するロッドの中では唯一C3000クラスのリールともバランスが取れる機種ですので、C3000サイズ以下のリールは持っていない、使わないという方にもおススメのロッドです。
ヤマガブランクス ブルーカレント83TZ/NANO Flex
ブルーカレント83TZ/NANO Flexは、レングス8.3ft、適合ルアーウエイト0.8〜10.5gのヤマガのライトゲーム ロッドのフラグシップシリーズの一本で、もともとはジグヘッドリグの遠投をコンセプトとしたロッドですが、もちろんプラッギングでも使えます。
ブルカレシリーズはアジ、メバルに限らずあらゆるターゲットを狙える汎用性と懐の深い曲がりが魅力。 |
しなやかでスロー寄りのレギュラーアクション、魚がかかると大きく曲がるタイプのロッドで、大型シーバスに対しては若干アンダーパワーですが、その性格ゆえ細糸で大型がかかっても切られる心配がなく、安心してファイトすることができます。
特にPE0.4号との相性は最高で、2.5gクラスのコレットなどから、上は12gのマニックフィッシュ88まで気持ちよく扱え、遠投することができます。(メーカー推奨のウェイトを超えますが、私は16gのマニック115などもこの竿で問題なくキャストできています。)
軽量ルアーでより遠投性を要求されるシーンで活躍してくれるロッドですね。
合わせるリールはシマノではC2000からC2500サイズが適していると思います。
シマノ ソアレエクスチューン S76UL-T
おススメロッドの3本目はソアレエクスチューンの中でもメバリング向けの高汎用ロッドとなるS76UL-T。
比較的高反発のチューブラーティップモデルで、メバルプラッギングに最適なモデルであるため、当然この記事でご紹介したルアーを扱うのにも向いています。
適合ルアーウエイトが0.6~6gと比較的狭いため、マニックフィッシュ88など10gを超えるルアーを扱うことは危険ですが、私はクロストリガーやマニック75あたりまでは普通にフルキャストして使用しています。
ここでご紹介した3本の中では最もアンダーパワーなロッドですが、シャープな使用感でハリ感が強めのロッドであるため掛かった魚は比較的暴れる傾向にあり、極小セイゴクラスから大型シーバスまで非常にスリリングなやり取りが楽しめるところが大きな魅力です。
また、当然ですがここに挙げた3本のうち、小型ルアーの操作性や感度(潮感度・アタリ感度)はこのロッドが最も良いですね。
リール編
リールは細糸とライトなロッドに合わせて、C2000番クラスで十分。
使用するラインの強度を踏まえても、過大なドラグ耐力などは不要で、むしろロッドのウエイトに合わせた自重で、細糸でも扱いやすいコンパクトサイズが理想です。
ライトゲーム用ロッドはバットガイドサイズも小さいのが一般的なので、スプール径もあまり大きくない方が飛距離も出ますしね。
そういうことで、一般的なライトゲーム用リールで、流れを探る釣りが多いためできればギア比が高いモデルであれば、なんでもよいと思いますが、以下におススメのモデルを記します。
シマノ ステラC2500SXG
最もおススメのモデルは、C3000相当のボディに#1000相当のローターを付けた異色の構成のモデルである'18ステラC2500SXG。
流れを探る釣りに有利なXGのギア比で、ラインキャパシティこそ異なるものの、径はC2000サイズ同等のコンパクトなスプールとローターを、それらに対してかなり余力のあるC3000相当の機関部で回すこのリールは、細糸で不意の大物が来かねないこの釣りにはまさに最適。
同様にヴァンキッシュC2500SXGもおススメのリールなのですが、残念ながらヴァンキッシュC2500SXGの方は最短でも50mmハンドルになってしまうため、極小プラグを繊細に巻くシーンでは少し大味なリトリーブフィールになってしまうことから、繊細な釣りへの対応力という意味で、45mmハンドルを標準装備したステラの方に軍配が上がると言えるでしょう。
コンパクトでありながらボディと機関部の大きさから来るゆとりと安心感、耐久性の高さは、特にこの時期の釣りには最高のリールだと感じていましたが、'22モデルのステラC2500SXGでは以下記事に記載した通り、#1000相当のボディの機種に変わってしまったため、ちょっと残念に感じています。
シマノ BB-Xハイパーフォース 1700DXG
レバーブレーキ派の方におススメなのが、BB-Xシリーズのコンパクトモデル、BB-Xハイパーフォース1700DXGです。
小型リールながらXGのギア比は流速感度に優れており、ドラグとLBの2段構えなので、より細糸でも魚とのファイト中のラインブレイクのリスクを減らすことができます。
PEライン編
冬シーズンのシーバスは他の時期に比べてヒキが強くないことに加えて、ライトなタックルであればあるほど、魚を暴れさせずにやり取りすることが可能である(ヒキが弱くなる)ため、ラインの号数を選ぶ際には実は強度面よりも使用するルアーやタックルの強さとのバランスを考えて選んだ方が良いです。
キャストするルアーウエイトによって必要とされるおおよその最低強度が決まりますが、概ねその目安は1gにつき1ポンドと考えておけば、フルキャストによる高切れなどを心配することなく扱うことができます。
ここでご紹介した釣り方では、下は2g台から上は10gオーバーまで、幅広いウエイト範囲のルアーをキャストするため、やはりラインの種別としてはPEラインが良いでしょう。
6g程度のルアーだけを使用するというのであれば0.3号でもOKで、オープンエリアであれば60cm程度のシーバス程度は十分取り込み可能なのですが、0.3号クラスでそのような魚とファイトした際、その時は良くてもやはりドラグワークによるガイドシステムとの摩擦によって、ファイト後には糸に大きなダメージが残り、引張強度が大幅に低下することが良くあります。
使用後のラインが如何に強度低下するものであるかは、以下記事にも書いていますのでご参考にされてください。
そういう理由から、立て続けに良型シーバスが掛かっても安心してファイトしようと思ったら、やはり安心なのはPE0.4号以上。
2g台のルアーのキャスタビリティは落ちてしまいますが、ラインブレイクはよろしくないので、これ以下の号数はおススメしません。
万一の根掛かりからの回収率も、0.3号と0.4号では大きく変わってきますしね。
銘柄については、数年前までは特に8本撚りのものは比較的選択肢が少なかったのですが、2019年頃から急激に各社細番手の8本撚りを出してきているので、お好みのものを使用いただければよいのではないかと思います。
私の場合は、以下のような銘柄の0.4号、0.5号をよく使いますかね。
リーダー編
リーダーが太いと魚が食わないということは全くありませんが、この時期に多用するメバルルアーなど小型プラグのアクションを損なわないために、リーダーも細めで、かつ糸自体があまり流れを受けすぎないよう比較的短めで使います。
2〜5g程度のルアーでは1.7号7lbs程度をメインに、それ以上のウエイトのルアーを使う時や大物が期待できる状況では2号8lbsから3号12lbsまでの太さを多用します。
以下のリーダーのように、号数表記に対して引張強度が高いリーダーも存在するため、ルアーのアクションを損なわない目的で細番手を使いたいときには良い選択肢になると思います。
夏秋のシーズンでは5号クラスのリーダーを当たり前に使うシーバスフィッシングで1.7号というのは細いんじゃないの?と思われるかもしれませんが、タックルバランスやドラグセッティングさえ悪くなければ60up、70upサイズでも全く問題なく獲れます。
ここまででご紹介したタックルセッティングで、一番のウイークポイントとなりうるのはPEラインとリーダーの結束部になるため、この部分が切れてしまわないようノットはしっかりした方法で組むこと、またノット付近のPEラインに劣化が見られないかマメにチェックすることが肝要ですね。
1〜3月の冬シーズンにおけるシーバスの狙い方まとめ
以上が厳寒期にフィネスタックルで狙うシャローでのシーバスの釣り方ですが、いかがでしたでしょうか。
この記事での重要なポイントをまとめると、以下のような感じです。
- 厳寒期のシャローでも上(表層付近)で出る魚は確実にいる
- ライトタックル+小型ルアーが有効で、フックまで含めたトータルバランスが重要
-
基本は流れを探る釣り。その作業を繰り返して魚に近づく
記憶が定かではありませんが、2000年代前半の雑誌、シーバスマガジンの特集記事で、当記事のテーマにそっくりな、早春の大型シーバスをメバルタックルで狙う釣り方が紹介されていたよう記憶しています。確かZipBaitsの浅川氏の記事だったような。
今回ご紹介した厳寒期のフィネススタイルの釣りは、もとはといえば阪神間では厳寒期の風物詩であった「河川の戻りシーバス」が昔ほど釣れなくなってきたことから、通い慣れた湾奥サーフで、年間で一番釣りにくい厳寒期になんとか魚が出せないものかと手探りでたどり着いた釣り方ですが、もしかしたら他の地域でも昔からいろんな人がやっていた釣り方の一つなのかもしれませんね。
寒くて水もどクリア、ベイトの姿は一切見えず、全く釣れそうに無い冬の夜の海で、魚を探してひたすらキャストを続けるこの釣り、魚から反応が無い時はいろんな意味でお寒いですが、釣れた時の喜びはハイシーズンとは比べ物にならないくらい大きいです。
この記事でご紹介したタックル、釣り方そのまんまで釣った中での最大魚。ちなみにこの時のヒットルアーはEnvy95でした。 |
ライトタックルで大物と渡り合うスリルも他シーズンでは味わえない魅力の一つ。
魚と出会える確率も悪くないどころか、むしろ他シーズンよりも高いと言えるくらいですし、普段のシーバス釣りとはまた一味違った楽しみが見いだせること間違いなしです。
気になる方は是非試してみてください。きっとハマると思います。
この記事の前のページ(前編)では、冬シーズンのシャローエリアにおけるシーバスの動向と具体的な狙い方、おススメのルアーについてご紹介しています。
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