みなさまこんにちは。
コロナ禍以降、最近は公的機関や金融業界などドレスコードが厳しかった領域でも、どんどんビジネススタイルのカジュアル化が進行し、街中でもスーツ姿の割合が減ってきたような気がしますね。
2025年以降は、そんなビジカジスタイルへの反動から、再びドレスライクなスーツなどが来るとも一説では言われているようですが、どうなんでしょう?
そういったビジネススタイルのカジュアル化に伴ってか、最近街中でも以前ほどはお堅いブリーフケースなどを見かけなくなってきましたね。
最近街中ではこういうカバンよく見かけますね
代わりにビジネスカバンとして台頭してきているなと感じるのが、リュックやトートバッグ。
特に空港をうろうろしていると、スーツスタイルでもジャケパンスタイルでもこの両者は非常によく見かける気がします。
しかし、正統なブリティッシュスーツやジャケットのスタイルに関しては、リュック、ショルダー、トートといった、肩から掛けられるようなカバンは本来はNG。
ジャケットの最も重要な部分である肩や胸回りを傷めてしまうことも理由の一つですが、それぞれアイテム本来の来歴が、軍服をルーツとするスーツに対して以下の通り、相容れないものであるからです。
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リュックは、登山や軍用装備に端を発する「機動性重視」の道具であり、背中に密着させて両手を空けることを目的とした設計です。
特に近代以降は兵士の携行品やアウトドアギアとして発展し、合理性と収納力を優先する構造が、スーツの構築的な美しさと相容れません。
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ショルダーバッグは、古代から商人や巡礼者が使っていた「実用的な運搬具」にルーツがあり、特に中世以降は郵便配達人や労働者が両手を空けるために使用してきました。
軍用メッセンジャーバッグとしても発展した経緯があり、左右非対称な掛け方がスーツの均整を崩す要因となります。
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トートバッグは、20世紀初頭の米国で氷運搬用バッグとして誕生した「作業用の大型袋」が原型です。
キャンバス地やオープントップ構造など、カジュアルでラフな印象が強く、スーツのフォーマルさとは本質的に異なる文脈を持っています。
現代ではファッションアイテムとして昇華されていますが、そのルーツはあくまで「労働と日常」なのです。
このように、それぞれのバッグには「実用性」「機動性」「作業性」といった文脈が根底にあり、スーツが持つ「構築美」「均整」「格式」とは異なる価値観に立脚しています。
だからこそ、スーツスタイルにおいては本来的にNGなカバンとされてきたのです。
昔の非常識は今では常識?レザートートは魅力が尽きない
とはいえ、近年、そんな正統派なスーツスタイルで日々出勤している人は、もはや絶滅危惧種でしょう。
そもそも欧米などスーツの本場に比べて、これまでの日本人のスーツ着用率が異様に高かったというのもありますので、近年日本のビジネススタイルがカジュアル化してきたのは、逆にノーマルな方向に振れてきただけなのかもしれません。
私も一応お堅い金融系業界のコンサルですが、近年はお客様企業のドレスコードに合わせて、基本カジュアルなジャケパンスタイルがメインです。
個人的に、そんなカジュアル寄りのセットアップやジャケパンスタイルに相性がいいなと感じるのが、近年非常に多くなってきた革製のトートバッグ。
仕事用としてはもちろん、完全なカジュアル・オフスタイルとも相性抜群で、何かと使い勝手がいいですよね。
ハンドルが長めのものなら、いざという時肩から掛けられて両手を空かせることもでき、コンビニなどでのちょっとした買い物のときや雨が降って傘を差さないといけない時などでもとても便利です。
そんなレザートート、以前から休日用には以下のものを使っていました。
しかし最近、出張用のキャリーケースをTUMIのものからRIMOWAのアルミ製、クラシックキャビンに買い換えたことで、空港ラウンジや移動中のことを考え、もうちょっと容量あるものに買い換えたいなと考えていました。
検討の経緯や詳細は以下記事の通りです。
その結果、選んだアイテムが、aniary(アニアリ)というジャパンメーカーのシュリンクレザートート07-02011。
前置きが非常に長くなりましたが、今回はこのレザートートバッグのインプレッションをお届けしたいと思います。
aniaryとは?──理想と現実を革でつなぐ、日本発のファクトリーブランド
1997年に日本のレザーメーカー「Plume(プルーム)」によって立ち上げられたaniary(アニアリ)は、「An ideal and reality(理想と現実)」を語源とする造語をブランド名に冠した、純国産にこだわる骨太なバッグブランドです。
大量生産や海外委託が主流となる中、aniaryは革の開発から縫製までを一貫して国内で行い、熟練職人の手仕事による高品質な製品づくりを貫いています。
特徴として、素材自体の製法を独自に開発したり、クロームなめしとベジタブルタンニンなめしを絶妙に配合し、染色やフェルト加工にも手間を惜しまないなど、結構手間暇かけた製造工程を得意としており、使い込むほどに味わいが増す革製品を多数生み出しています。
価格帯は2〜8万円台と、国産レザーバッグとしてはかなり手頃で、知名度はそこまで高くはありませんが、30〜40代のビジネスパーソンや感度の高いユーザーを中心に支持を集めています。
もう一つ同社製品の特徴として、カラーバリエーションが豊富であることが挙げられますが、製品ごとに5〜10色以上展開されることもあり、個性を演出したい人にもぴったり。
機能美と素材美を兼ね備えたaniaryは、まさに“理想と現実”を革でつなぐ存在です。
私自身全く知らないメーカーでしたが、数年前、短期出張用に同社のボストンバッグを初めて買って以来、縫製や革質など基本的なクオリティの高さ、そして気を衒わないシンプルに徹した機能美、何より日本製でありながら投資対効果、コストパフォーマンスに非常に優れていると感じ、大型バッグ、トートバッグ、ウォレット、ボディバッグなど同社製品を結構何種類もリピート買いしています。
つくりの良さ、機能性、コスパに惹かれ結構リピ買いしてしまっています。 |
aniary(アニアリ)シュリンクレザートート07-02011とは
同社の07-02011というモデルのトートバッグは、アニアリオリジナルの国内原皮にクローム鞣しを行ったシュリンクレザーを素材とする、ハンドル長めの横型トートバッグ。
サイズは横41.5㎝×高さ31×マチ15㎝と、中型からやや大型サイズに相当するタイプで、重量は850gと非常に軽量です。
どんなトートバッグなのか、メーカー説明文を引用してみましょう。
シンプルな見た目に
隠された使い手への配慮
まず始めに……、このバッグには、見た目の華美さを期待しないでください。それだけシンプル。ある意味究極にミニマルなトートと言っても、決して過言ではないでしょう。でも、そんな一切の無駄を削ぎ落としたバッグを使ってみてつくづく感じるのは「もう二度と離れたくない」という、恋人との離別にも似た感情です。その理由は、見えないけれど徹底的にこだわった細部の設計思想にあり。メインコンパートメントにファスナーを設けることでセキュリティ面をしっかりと考慮。さらに、前後に大小のアオリポケットは、細々としたものの収納に重宝するだけでなく、シンプルなデザインの邪魔もしていません。さらにハンドルの長さは、肩にかけてもストレスを感じないだけでなく、手持ちした際にも床につかない絶妙な長さに設定されています。しかも床に置いた際にも安心な底鋲付きで安定感も抜群なため、しっかりと自立してくれます。飽きのこないシンプルなデザインと、徹底的に計算され尽くした機能性。まさに愛するパートナーのごとく“ずっと一緒に暮らしたくなる”横型トートが完成しました。
(aniary 07-02011 製品ページより引用)
買ってよかったと思う点は?
この07-02011、折りたたんだジャケットやニット、カーディガンなどがすっぽり入ることを条件に、用途としては出張の移動時にスーツケースに載せて使うために選んだものですが、まさにその目的にはどんぴしゃりで非常に満足しています。
手にすると程よい大きさですが、マチ幅15㎝というのが結構いろいろモノを入れるのに都合がよいサイズで、スリーブに入れた14インチノートPC+サングラスケース+小物ポーチ+スマホ、タブレットなど各種デバイスを入れた状態で、さらに畳んだジャケットも入れることができるサイズ感です。
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大容量のメインコンパートメントはポケットは2つついているものの、シンプルな一室構造。 |
秋冬モノやコートなどあまりボリューム感あるアウターは厳しいかもしれませんが、暑くて移動中についついジャケットを脱いでしまうのは春夏シーズン、つまり薄手でボリューム感がそこまでないものが多いので、用途的には十分問題ないですかね。
セキュリティのためメインコンパートメント開口部はジッパーが装備されていますが、ノートPCやセキュリティカード、各種デバイスなど貴重品を入れておくカバンとしてこれは必須装備だと思います。
PCスリーブ入りの14インチPCと、2つ折りで折りたたんだチルコロのジャケット(以下記事参照)を収納した様子。十分ゆとりがありますね。 |
そのジッパーは開口部より少し内側下方にあるため、モノを出し入れするときに引っ掛かりにくいですし、開けっ放しにしていても閉じていても、外側からは見えにくいのでシンプルな見た目を維持しつつ、開閉どちらの状態であっても使い勝手はいいです。
縦型トートの方がスタイリッシュな感じはしますが、実際使い比べてみると開口部の広い横型トートの方が、中の荷物を探しやすい、出し入れしやすいというメリットがありますね。
ちなみにアルミ製ジッパーのしっとりした引き心地の良さも、アニアリのカバンに共通するもので満足度は高いです。
前面、背面それぞれにアオリポケットがありますが、前面の大きい方はホックボタンで留めるタイプ。
最近のトートでは同様のポケットにマグネット式ボタンを使っているものも多いですが、私はこのシンプルなホックボタンタイプの方が開閉に安定感・安心感がありよかったと感じています。
裏面の小さいポケットは、IDカードやパスケース、タバコなど頻繁に取り出す小物などを入れるのにちょうどよいサイズです。
内側のつくりも非常にシンプルで、片面に2ポケットがあるだけの一室構造。
TUMIのバッグのように、小物の種類ごとにオーガーナイザー的な内ポケットがついているタイプも魅力的ではありますが、こちらのアニアリのようなシンプルな構造の方が、かさばらず軽量、容量面で無駄がなく、かつ自分好みにモノを整理できるので、個人的にはそういう押しつけの少ないレイアウトの自由度の高さも気に入っているポイントです。
なお、シュリンクレザーは薄く漉かれた比較的しなやかなレザーのため、中身が空っぽの時には自立しにくいでが、少しでもモノが入った状態では、しっかりと自立してくれます。
モノを入れた状態ではしっかり自立してくれます。 |
底鋲もついており自立してくれるバッグであるため、オフィスなどでデスクワーク中床に置くときにも困りません。
このように、ビジネス、カジュアル兼用のトートバッグとして、おおよそ必要な機能性は網羅していて、デザインも中身もシンプルの極みながら使い勝手は非常によく、使っていてとても満足感は高いですね。
機内でも前席下に立てて収納できます。 |
旧型の機体だと前席下が狭いため、横に寝かせて収納する必要がありますね。 |
欠点はないのか?
そんなアニアリのトート07-02011、欠点はないのでしょうか?
結論から言うと、しばらく使ってみまたものの特に欠点らしき欠点は見つかりませんでした。
しかし、あえて重箱の隅をつつくような点まで目を向けると、以下のようなデメリット?はないわけではないかもしれません。
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スーツケースとのセットアップが微妙
これはこのバッグだけでなく、世の中の多くのレザートート全般に言えることですが、このバッグ、自立式で底鋲がついているため、その底鋲でアルミ製トランクなどの上面に細かい傷が入ることがあります。また、TUMIやSamsoniteの多くのバッグに採用されている、スーツケースとのセットアップスリーブなどは当然ないため、ハンドル長めのトートでは中に入れるもの次第ではスーツケースとのセットアップ時に安定感に欠ける感じはあります。
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ミニマルデザイン故に面白味は少ないか
これはメリットでもありデメリットにもなる要素ですが、外観、内装とも非常にシンプルなデザインにまとめられたバッグであるため、バッグ自体の主張、オーラみたいなものは感じにくいかもしれません。
私個人的には、こういうモノつくりの本質を突いた製品、かつブランド名などがわからないようなアンダーステートメントに徹した製品の方が好みですが、カバンにデザイン性を求める人や、高級感最優先の人、ブランドを主張したい人にとっては面白味は少ないかもしれませんね。
底鋲でスーツケースに小傷がついてしまいました。 |
aniary(アニアリ)シュリンクレザートート07-02011 インプレッションまとめ
さて今回は日本のカバンメーカー、 aniary(アニアリ)のシュリンクレザーを使った横型トートバッグ、07-02011についてのインプレッションをお届けしましたが、いかがでしたでしょうか?
よくも悪くも目立つ要素のないシンプルでミニマルに徹したデザインに、クオリティの高い加工の施された革素材に丁寧で安定感ある仕立て、縫製で、まさにレザートートの王道といった感じのこのバッグ、華やかさには欠けるかもしれませんが、流行りすたりに振り回されずタイムレスに愛用できる「相棒」足りえるバッグとして、非常に良い選択肢ではないかなと思います。
税込み定価42900円と、日本製の中でもお手頃な価格で、いわゆる欧州の巨大コンツェルンに属するような「ハイブランド物」ではないため、それらのカバンに比べて「価格対価値」の意味では確実に勝る、コストパフォーマンスの高いアイテムだといえるでしょう。
また、ナイロンバッグは年数とともに劣化しかしないですが、このバッグに使われているレザーはマメに手入れをしてあげれば長持ちするし経年変化、アジが楽しめるのも魅力の一つ。
タイムレスに相棒となってくれるシンプルデザインの定番アイテムとしておススメです。
気になる方はぜひ手に取ってみてください。
ということで、今回のお話はおしまい。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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