みなさまこんにちは。
今年前半に、これまで所有していた全てのスピニングリール(レバーブレーキタイプ)を売却し、手持ちのリールを総入れ替えしました。
これまでアジング、メバリングなどライトゲーム用に使っていたBB-XハイパーフォースC2000DXGやRINKAI SP 1700DXGに代わるリールとして選んだのは'20ツインパワーC2000SHGと'18ステラC2000SHGの2台。これらをしばらく使っていましたが、ライトゲーム用の軽量ロッドにはやはり軽量なリールの方が似合いそうだと感じ、先日'19ヴァンキッシュC2000SHGも追加購入してみました。
その後しばらく実釣で使い込んでみましたので、今回はこのリール、ヴァンキッシュC2000SHGのインプレッションをお送りしたいと思います。
'19ヴァンキッシュC2000SHGはどんなリール?
2019年にシマノから発売された、巻きの軽いクイックレスポンスシリーズスピニングリールの最高峰機種がヴァンキッシュ。
どんな機種なのか、シマノ公式サイトからこのモデルの紹介文を引用してみましょう。
かつてない「軽さ」「強さ」「飛び」を極めて。揺るぎなきクイックレスポンスシリーズの頂点。
ボディ、ローターからハンドルに至るまで、全ての箇所への軽量化を徹底追求。現行モデルを凌ぐ圧倒的な軽量化に成功。それにより、さらなる操作性向上と感度アップを実現した。しかも、これだけの軽量化を施したにも関わらず、ボディ剛性、ギア耐久性、防水性を向上させるという軽量化とは相反する進化にも成功した。さらに、それだけにとどまらず、ステラ以外のモデルでは初となるロングストローク構造を採用し、遠投性能をも向上。ヴァンキッシュ史上最も進化したモデルと言えるだろう。どんな状況下でも、釣果を追い求めるストイックでテクニカルなアングラーに是非使ってもらいたいモデルだ。
'19ヴァンキッシュは'18ステラと同様に、これまでのモデルチェンジの歴史の中でも最も進化の度合いが大きいモデルだと言われています。
今モデルでの大きなアップデート内容としては以下が挙げられますが、いずれも'18ステラで採用された技術要素を継承したものとなっていますね。
マイクロモジュールギアⅡの採用
サイレントドライブの採用
X-プロテクトの採用
HAGANEギア強度の大幅アップ
ロングストロークスプールの採用
それぞれの技術要素の詳細については、以下'18ステラC2000SHGのインプレ記事に書いていますので、よろしければご参照ください。
以下では今回ご紹介するヴァンキッシュC2000SHGがどういうスペックのリールであるか、シマノ公式サイトから引用したスペック表を記載します。
スペック ギア比 6.1 実用ドラグ力/最大ドラグ力(kg) 2.0/3.0 自重(g) 145 スプール寸法(径mm/ストロークmm) 43/13.5 ナイロン糸巻量(lb-m) 3-125、4-100、5-75 フロロ糸巻量(lb-m) 3-110、4-85、5-65 PE糸巻量(号-m) 0.6-150、0.8-110、1-80 最大巻上長(cm/ハンドル1回転) 82 ハンドル長(mm) 45 ベアリング数
BB/ローラー11/1 本体価格(円) 57000
(引用元:https://fishing.shimano.co.jp/product/series/vanquish/lineup/index.html)
C2000SHGのモデル説明は以下の通りとなっています。
ライトソルトから渓流トラウトまでなんでもこなせる。#1000HG系のスタンダードモデル。
参考対象釣種:ライトソルト全般、渓流トラウト
ノーマルギアのC2000SやC2000SSSの参考対象釣種が、「ライトソルト全般、管釣りトラウト」で、C2000SHGが「ライトソルト全般、渓流トラウト」となっているところからもわかる通り、「流れ」を感じる釣りでは、水抵抗に対して感度に優れるハイギアのC2000SHGの方が有利で、より活躍するシーンが多い、汎用性が高いリールだと思います。
ディティール
ヴァンキッシュC2000SHGは非常に均整の取れた外観が特徴で、個人的にかなり完成されたデザインだと思います。
リール本体を構成するコンポーネンツは1000番サイズボディに、1000番サイズローター、C2000サイズスプールが組み合わさった番手であり、手にすると他リールのC2000サイズ同様、非常にコンパクトに感じられるとともに、145gというシマノスピニング最軽量となる重量は、やはり驚異的に軽く感じます。
ディティールを見ていくと、やはり同じC2000サイズのステラやツインパワーに比べて、このヴァンキッシュではローターまわりのデザインが特徴的で、軽量化のためにかなり肉抜きされているのが目立ちますね。
スプールもステラの同番手のものと持ち比べると軽量に感じますが、ここも軽量化のためにかなり肉薄化されているようです。
ハンドル長は、HGというギア比に合わせ巻重りを少なくするため、同2000Sより5mm長い45mmが採用されていますが、このハンドルに対しても軽量化は追求されており、重量減による慣性力軽減のため、ハンドルそのものは軽量なCi4+製、軸ツバ部分もブランキングが施されるとともに、ステラですら採用していない高価なチタン軸を用いる等、見えないところまで本当に徹底されています。
また、ハンドルノブは夢屋カスタムパーツとしても提供されているパドル型の軽量タイプで、このリールのキャラクターに合わせたチョイスになっていると思います。
手にした印象
手にしてまず印象付けられるのはやはり「軽さ」。
シマノスピニングリール中最軽量クラスとなる145gという自重は、ステラC2000SHGやツインパワーC2000SHGと持ち比べると圧倒的と言えるくらい軽量です。
以前購入した同じヴァンキッシュのC2500SXG(重量155g)も大抵軽いなと感じていましたが、それよりもさらに10gも軽いですもんね。
巻いてみた感じも、やはりステラやツインパワーに比べるとかなり軽め。
とは言え、以前ステラC2000SHGのインプレ記事でも書いた通り、ギア比6.1のC2000SHGよりも高いギア比6.4を採用したヴァンキッシュC2500SXGの巻き心地に比べると、ギアの径が小さく、ハンドルも5mm短くなるため、やや重めと言えます。
まあ、ヴァンキッシュC2500SXGの巻きがあまりにも軽すぎて若干使いづらく感じる時もあるため、それよりも少し重めのC2000SHGの巻きは「適度な軽さ」と言えるでしょうか。
巻き心地に関しては、やはりステラと比べるとややノイズが大き目で、リーリング時に若干のざらつきを感じます。
購入後4回、5回と釣行を重ねて以降は、ギアが馴染んできたためか、購入直後よりも巻き心地に滑らかさが増し、巻重りも若干軽めになりましたが、一方で、巻きの最中にカタコトというノイズが目立つようになってきました。
このギア死点でのカタコト音は、サイレントドライブが採用されて以降のリールではかなり低減されたはずですが、やはり完全にその存在を消しているリールはステラだけ。
ヴァンキッシュやツインパワークラスでは、程度の差こそあれ、個体のアタリ、ハズレに関係なくやはりどこかしらガタがあり、ノイズが出るようです。
とはいっても、あくまで「ステラに比べれば」の話で、実用上はそこまで気になるものではありません。
実釣インプレ
ヴァンキッシュC2000SHG、早速実釣で使いまくってみましたので、そのインプレを記したいと思います。
キャスタビリティは高い
キャスタビリティについては、ステラやツインパワーと同様、ロングストロークスプールの恩恵からか、旧来のC2000サイズのリールに比べると若干良くなった気がします。
ただ、ステラのインプレでも書きましたが、バットガイドの径が小さくリールフットとバットガイド間の短めな一般的なソルトライトゲーム用のロッドと組み合わせた際には、C2000サイズ(43mm径)よりも1000番サイズ(40mm径)スプールを装着した方が、ジグ単リグなど軽量ルアー使用時のラインの放出がスムースに感じますね。
そういうわけで、もちろんデフォルトで付属するC2000サイズのスプールも使用してはいますが、メバリングの際には以下の夢屋1000番スプールを装着して使用する機会も多いです。
ステラの夢屋C1000スプールも持っていますが、漆黒のヴァンキッシュのボディには若干カラーリング面で似合わないように感じるため、このリールにはあまり装着しませんね。
リトリーブフィール
リトリーブのフィーリングは室内での空巻きでも実釣での使用時でも、かなり軽め。
上で書いた通り、ヴァンキッシュC2500SXGに比べると重めとはいえ、絶対的にはかなり巻きが軽いリールであり、同サイズのツインパワーやステラに比べると、かなり軽い巻き心地。
ただ、その巻き心地の「質」の面では、やはりステラに比べるとノイズが目立つ滑らかさに欠けたフィーリングです。
個体差もあるかもしれませんが、他に保有しているC2500SXGや、釣具店で触ったC2000SHG、C2500SXGも同じ印象でしたので、やはりその傾向はあるのだと思います。
ギアパーツは同一のものを使用しているはずのツインパワーに比べても、巻きの「質感」に関してははやや劣るような印象ですね。
しかし、慣性力の少ない軽い巻き心地は、巻くための入力=手の動きが、そのままリーリングに直結するイメージで、特に巻き始めの軽さが圧倒的であるため、「止め」や「緩急」など巻きに変化をつける場合の操作性の高さはステラやツインパワーの比ではありません。
個人的には、そういう「動」の釣りよりもただ巻きを多用するタイプなので、特に潮流を感じる釣りなどでは、もう少し重めの巻き心地でもいいかなと感じるくらいであるため、ハンドルについては、デフォルトの45mmハンドルとは別に、C2000S用の40mmハンドルをパーツ注文購入して使っています。
合わせるロッドにもよりますが、メバリングのナイトゲームで多用するような、低速かつ定速の繊細なリトリーブをする際には、巻きの径が大きくなるデフォルトのハンドルより、こちらの40mmハンドルの方が有利ですね。
以下記事にある夢屋Ci4+シングルハンドルでも40mmタイプがありますが、こちらのモデルはハンドル軸がチタンではないことで、若干巻きのフィーリングが異なりますので、ヴァンキッシュ本来のフィーリングのままでより繊細な巻きを追及するなら、C2000S用の40mm純正ハンドルをパーツ購入する方がおススメです。
なお、ヴァンキッシュC2000SHGはシリーズ最小ボディのリール故に、ドライブギアも小径のものが搭載されており、さらに極軽量コンポーネントから成るリールであるため、水中の変化を感じ取るインフォメーション性能に関してはかなり良いです。
リーリング時のノイズ、雑味の有無の面から「巻感度」はステラには劣るものの、潮流を感じる能力はそれでもかなり優秀。
何より、軽量な金属ボディ(注:蓋は樹脂)故に、軽量ロッドと組み合わせた際の「アタリ感度」については、ステラ以上に良いと言えるかもしれません。
魚とのファイト
まだこのリールではそれほど大きなメバルは釣れていませんが、シーバスやチヌなどが掛かった時でもドラグは滑らかに作動してくれ、0.2号、0.3号といった細いラインを使用していても安心してやり取りすることができます。
ドラグはステラ同様ドラグノブ約11回転でフルロック。
実釣でよく使うドラグノブ8回転前後の領域でも微調整も効き、肉抜きされたスプール故かクリック音が甲高いところを除いては、個人的にステラのドラグと比べても遜色のない良い効き具合だと感じています。
なお、ヴァンキッシュはツインパワー同様、ボディのギアボックス部分が樹脂製のいわゆる半プラ構造であるため、特に私のように右投げ右巻きをする人にとっては剛性が低いとか言われがちですが、シーバスなどを相手にしているファイト中でも、巻き上げ力や体感上の剛性感は全く問題ないどころか、非常に良いのではと感じています。
ローター部分に関しては、マグネシウム製ローターを搭載するステラに比べるとやはり撓むのは間違いないですが、ライトゲームで使うようなポンド数のラインを使っている限り、この撓みが何らかのデメリットになることなどほぼ皆無とみて良いでしょう。
もし、C2000サイズのヴァンキッシュにPEライン1号とかを巻いて大型シーバスを狙うとかいうもの好きな人が居れば話は別ですが。
'19ヴァンキッシュC2000SHGのインプレまとめ
さて今回は'19ヴァンキッシュC2000SHGについての実釣インプレッションをお届けしましたが、いかがでしたでしょうか。
どうしてもステラやツインパワーと比較されがちなヴァンキッシュ、やはり実釣で使う中でも、「ココはステラに比べてどうだ」といった見方でこのリールを評価してしまいがちで、ヴァンキッシュが見劣りする点があるのも確かなのですが、それはBMWのクルマで言えば直列6気筒エンジン信者(私も含めてw)が4気筒モデルをイマイチだなと評するのに似ているかもしれません。
確かに、直列6気筒モデルにはそれでしか味わえないフィーリングがあり良さがあるのは確かですが、その分お金が掛かるので当然といえば当然。
4気筒モデルでも近年のモノは、実際に乗ってみると回転フィールや音質こそ6気筒に及ばないものの、鼻先が軽く軽快感あふれるドライブフィールで、比べさえしなければコレで十分だろと思わされるもの。
ヴァンキッシュも同様で、実際に使ってみると高い質感、安心の剛性感、巻き心地の良さ、インフォメーション性を備えており、もうリールはコレで十分でしょ?と思えるリールです。
むしろ軽快感やアタリ感度、特定の軽量ロッドとのバランス面の相性などに関してはステラを上回ると思えるところもあるくらい。
個人的には、このヴァンキッシュC2000SHGは、気分やその日の釣りスタイルに合わせてステラと使い分けています。
手持ちのロッドではヤマガブランクスのブルーカレント67TZ/NANO、71TZ/NANO、83TZ/NANOなど軽量ロッドと合わせる際には、必ずと言っていいほどヴァンキッシュの方を選んでいますね。
ガチガチの高級ロッドというわけではなく、あくまで手軽な感覚のヤマガライトゲーム用フラグシップであるブルーカレントTZ/NANOとヴァンキッシュは、装着時のバランス面やカラーリングも含めて非常にお似合いだと思って、特に手軽な釣りには重宝しています。
よく「ヴァンキッシュは軽量すぎて重心位置が…」なんて批判をきくこともありますが、実際に同番手のステラと交互に装着し比べて使ってみれば、極軽量なライトゲームロッドでは蘊蓄よりも軽さが正義になる場合が多いことにも気づいていただけると思います。
このように、ステラやツインパワーと一緒に持っていても、決してサブリールの座に甘んじるようなリールではなく、むしろ積極的に使いたくなる魅力溢れるリールだと感じており、個人的には非常に気に入って使っています。
そのヴァンキッシュ自体は'19年登場と、モデルとしては既に今年(2021年)で3年目に突入しているため、これも'18ステラと同様従来のモデルライフサイクルではいつモデルチェンジがやってきてもおかしくない時期ですが、次期モデルの登場は2024年になると予想しています。
理由は、'18ステラが同モデルでのテクノロジー面のジャンプアップ幅が大きかったため、次のモデルチェンジの目玉となるアップデート要素がまだ少ないため、モデルチェンジがまだ先(2023年になる)と予想されること、また、セールス面や今後のリール開発のロードマップを踏まえて、必ずヴァンキッシュは最上位機種であるステラより遅れて、その採用技術のフィードバックを受けてリリースされることになると予想されるからです。
そういうことで、’19ヴァンキッシュは今年も来年もまだまだ現行モデルとして健在。
今から買っても決して遅くはないと思いますので、気になる方は、是非手に取ってみてください。
なお、気になる次期型ヴァンキッシュについては、以下に予想記事を書いていますので、宜しければ是非ご覧になってみてください。
この記事でご紹介したシマノ '19ヴァンキッシュC2000SHGはこちらです。
2022年以降の釣行記は姉妹サイト「スモールフィッシング」に記しています。
よろしければコチラのサイトもご覧になってみてください。
スモールフィッシングの最新記事はコチラ! 続・スモールフィッシングの最新記事はコチラ!なお、現在、Amazonのお買い得釣り具を検索するリンクページ、「密林お買い得情報」を大幅リニューアル中。最新モデル情報も含め、AmazonとYahooや楽天の価格比較もできるよう、より有益なページとなるようデザインを日々見直していますので、こちらもよろしければ是非チェックしてみてください。思わぬ掘り出し物が見つかるかも!