みなさまこんにちは。
私は長年ソルトルアーフィッシングには、レバーブレーキリール(LBリール)ばかり愛用してきましたが、先日以下の記事で書いた通り、13年ぶりにノンレバータイプの汎用リール、ステラを購入してしまいました。
といっても、LBリールがイマイチ使いこなせない息子用にと買った次第なのですが、これが実釣で使ってみると思いの他いい!
私が長年離れている間に、汎用リールの世界はかくも進化していたのかと驚きを禁じえませんでした。
そういうわけで、自分専用に汎用リール、C2500サイズが欲しくなったのですが、さすがにモデル末期が近く実売6万円以上するステラをぽんともう一台買うわけにもいかず、しばし悶々と悩んだ結果、'20年にヴァンキッシュシリーズに追加された機種、ヴァンキッシュC2500SXGを購入するに至りました。
今回はこのリールのファーストインプレッションを書いてみたいと思います。
どんなリール
ヴァンキッシュは、シマノからリリースされている最軽量スピニングリール。
シマノスピニングリールは、コアソリッドシリーズ、クイックレスポンスシリーズと、2種類に大別されますが、ヴァンキッシュはこのうち、MGL(マグナムライト)ローターを採用し軽い巻き上げが特徴のクイックレスポンスシリーズの最高峰に位置するリールで、2019年にリリースされました。
今回ご紹介するC2500SXGという型番は、そのシリーズに2020年に追加リリースされたもの。
シマノ公式サイト製品ページの紹介文を引用すると、以下のようなモデルです。
#2500系ボディにコンパクトなスプール&ローターを搭載したコンパクトな#2500。
XGギア搭載で巻上げ長は3000MHGに匹敵する86cm。より手返しを重視するならこのモデル。
参考対象釣種:フィネスバス、チヌ
(引用元:http://fishing.shimano.co.jp/product/series/vanquish/lineup/index.html)
なお、シマノ公式サイトから引用したバンキッシュC2500SXGのスペック表を以下に記載します。
スペック ギア比 6.4 実用ドラグ力/最大ドラグ力(kg) 2.0/3.0 自重(g) 155 スプール寸法(径mm/ストロークmm) 43/13.5 ナイロン糸巻量(lb-m) 5-110、6-95、8-70 フロロ糸巻量(lb-m) 4-130、5-100、6-80 PE糸巻量(号-m) 0.6-200、0.8-150、1-120 最大巻上長(cm/ハンドル1回転) 86 ハンドル長(mm) 50 ベアリング数
BB/ローラー11/1 本体価格(円) 57500
(引用元:http://fishing.shimano.co.jp/product/series/vanquish/lineup/index.html)
実売価格は、やはり店頭より通販の方が大幅に安いですが、以下リンク先のような感じです。
手にした印象
まず手にしてみての第一印象は、やはり「軽い!」ということ。
155gという自重は、比較的軽いステラの同番手に比べても25gも軽量で、実際に持ってみると驚くほどの軽さです。
そして、ハンドルを回すとこれも非常に軽い。
MGLローターを採用したクイックレスポンスシリーズのリールは巻き出しが軽いのが特徴ですが、同番手のステラはおろか、同じ種類のMGLローターを採用した'20ヴァンフォードや'20BB-Xハイパーフォースなどの同番手に比べても、格段に巻き出しは軽いです。
XGギアとは思えぬこの軽い巻き感はなぜだ?とよくよく見てみると、ヴァンキッシュはステラの同番手に比べて若干ハンドル長が長い。
調べてみると、ヴァンキッシュのC2500SXGには45mmハンドルのステラC2500SXGに比べて5mm長い、50mmのハンドルが装着されているようです。
なるほど、こういうところでも巻きの軽さを実現しているのですね。
総じて、第一印象としては重量、巻き感ともに他に類を見ない「軽さ」が目立つリールでした。
ディティール
外観面ではすっきりした黒基調のシンプルなデザインで、かなり好印象。
素直にかっこいいリールだと思います。
ディティールを見ていくと、目立つのは軽量化のため大きく肉抜きされたCI4+製ハンドル。
このハンドルのスタイルは'16ヴァンキッシュから続く当機種のアイコンのようなものですが、ステラのアルミハンドルに比べて数グラムも軽量化されているようですね。
なお、ハンドル軸はステラにすら採用されていない独自のチタン製のものが使用されています。
このリールの軽量化に対していかにシマノが本気であるかがわかりますね。
ボディ本体に関しては、軽量化のため足つきの蓋部分がマグネシウム製で、駆動部が収まるギアボックス側がCI4+樹脂を用いたいわゆる「半プラ」構造になっていますが、ぱっと見はわかりません。
ステラと比べるとボディ右側面にこの半プラ構造をとめるためのネジが見え、ボディ下部はパーティングラインが見えますね。
大きく肉抜きされたローターもCI4+樹脂製で、触っただけでも軽量であることが見て取れます。
ローター加飾プレートの「MGL」の文字は正直要らないですかね~。 |
ラインローラーはステラのDLC(ダイヤモンドライクカーボン)加工がされたものではなく、通常タイプのシルバー色のラインローラー。
ラインローラーはDLCではなく通常タイプ。 |
ドラグノブもステラが金属削り出しであるのに対して、ヴァンキッシュはシンプルな樹脂製。
ドラグノブは樹脂製のシンプルなタイプでステラほど高級感はありません。 |
こういった細かいところを見るとやはり最上位機種とはいろいろと差別化されているのが見て取れますね。
キャストフィール
'18ステラ以降のリールに続々と採用されているロングストロークスプールは、当然このヴァンキッシュにも採用されています。
ロング化により、キャストしたときのスプール糸巻きの最外周半径の目減りが従来型スプールよりも少なくなるため、明らかにコレは飛距離面でも有利になるはずですね。
デザイン上、1000~C2500用のスプールは2500サイズ以上ほどは縦の長さを感じませんが、一応ロングストローク化されています。 |
シマノによると、これにより数%飛距離アップが期待できるとのことですが、実際に投げてみた感じ、確かに従来型の同サイズスプールのリールに比べて若干飛距離の伸びがあるように感じられなくもないといったところでしょうか。
PEラインの細糸を使う限りは、スプール糸巻き面のキャスト後の目減りはもともとそこまで大きくはないため、おそらくモノフィラメントラインや太目のPEラインでキャストしたときにこそ、よりロングスプールの恩恵が体感できるのではないかと思います。
とはいえ、非常に軽量な自重も相まって、キャスト時のスイングスピードは上がりそう。
自重が軽すぎることでロッドとの相性などは却って難しくなる場面もありそうですが、キャストフィールや飛距離面は総じて良い印象を受けました。
操作性
ドラグノブやベール、ハンドルなど、実釣シーンで触る部分の操作性はいずれも特に不満を感じるようなところはありません。
確かにドラグノブなどは金属削り出しのステラに比べると安っぽいのは確かで、肉抜きされたスプールや構成部品の違いからか、作動時のクリック音も若干安っぽい印象を受けますが、ドラグの効き自体は非常に良いため、特にマイナス要素とは思いませんでした。
ベール部分も動作自体はステラと同じですが、返したときの動作音は明らかにステラの方が高級感があり、オートリターンも含めて動作にしっとり感、重厚感がより感じられますね。
とはいえ、ここもあくまで「感性」にかかわる領域で、ヴァンキッシュの動作音や操作性に何か劣った部分があるわけではありません。
まあ、操作時の質感という意味ではステラには敵いませんが、操作性全般も高いレベルで良いリールだと感じました。
リトリーブフィール・巻き心地
室内で負荷を掛けずに巻いた場合、シマノのスピニングリールすべてについて言えることですが、新品状態であってもそれなりにシュルシュルといった摺動音は聞こえるものです。
いわゆる高級リールの仲間であるヴァンキッシュもこれは例外ではありませんが、空巻き時のメカニカルノイズの有無や巻き心地の良し悪しは、実釣では全く重要なことではありませんので、ここでは実釣におけるフィーリングについて述べたいと思います。
まず、室内で触れた時に感じた巻きの軽さは、やはりルアーをリトリーブするときにも強く感じられ、ステラなどから持ち変えた直後だとかなり違和感を覚えます。
その要因の一つが低慣性のMGLローターを採用していること。
コアソリッドシリーズのリールでは、ローターが自重で回転し続けようとする慣性の力を借りたリトリーブができるため、回しはじめのレスポンスは悪く、巻き始めが重いような気がする反面、一旦巻き始めてからの一定速度のリトリーブは、定速・高速にかかわらずやりやすいものです。
しかし、このヴァンキッシュでのリトリーブでは、ローターの慣性力が抑えられているため、巻き始めは非常に軽いものの、巻き始めた後は常に意識して力を入れてリトリーブせねばならないため、巻き心地自体は軽いにも関わらず一定速のリトリーブは少し疲れるような気がします。
良くも悪くも、ハンドルへの入力がそのまま回転になるというフィーリングなので、定速リトリーブに関してはコアソリッドシリーズや他のMGLシリーズのリールよりも集中力を要するような気がしますね。
もちろんただ巻きの釣りに使いにくいというほどではありませんし、慣れの問題だと思いますが、使われる際にはこのあたりの巻き感の違いは確実に感じられると思います。
ルアーにかかる潮圧の変化などを感じ取る「感度」についても、リール自体が軽量だから高いはずと思っていましたが、使い比べた感触ではやはりステラに軍配が上がります。
この辺は主に、撓みの少ない金属製ローターとCI4+製ローターの違いからくるものなのでしょうか、ヴァンキッシュの方が、若干ぼやけた印象になりますね。
C2500SXGどうしで比べるとヴァンキッシュの方が5mm長いハンドルを採用しているため、これも巻き感の違いに大きく影響しているはずだと思います。
シーバスなどではこのままでもいいかもしれませんが、ライトゲーム用に振るなら、あえてこの純正ハンドルに付け替えてみてもいいかもしれませんね。
釣りに関しては全く初心者である息子も、ステラとヴァンキッシュを使い比べた時に、ルアーにかかる水圧の変化はステラの方が明確に感じやすいと言っていたので、やはりそうなのだろうと思います。
とはいえ、この軽い巻き感が活かせる釣りの種類はたくさんありそうですし、慣れれば全く問題ないレベルの話なので、特にマイナス要素とは思いません。
ただ、個人的には、バス、シーバス、チニングなどではデフォルトの50mmハンドルのままでよいと思いますが、より馴染みやすい巻重り感にしたり、より感度が必要なライトゲームなどにこのリールも転用するなら、40mm長のハンドルを付けた方がしっくりくるのではないかと思います。
C2500SXGはハンドル互換性がH-11、対して40mmハンドルはいずれもH-10と、カタログ上は互換性は無いですが、以下記事に記載の通り、一応実釣でも問題なく装着して使用することができます。
ファイトとパワー感
まだ実釣では40cm台から60cm台までのシーバスを何匹か釣っただけなので、正直なところパワー感などのインプレは難しいのですが、魚が突っ込んで大きく負荷が掛かった状態でもリーリング力は十分パワフルで、懸念していたローターの撓みなども全く気にかかることはありませんでした。
シーバス用でもし、PE1.2号以上のような太目ラインを使ったタックルセッティングで、「強い流れの中でランカーサイズを掛けて走られた」みたいなシーンに出くわしたら、別の印象を受けるかもしれませんが、そもそもC2500サイズのリールをそんなシーンでは使わないですよね。
せいぜいPEライン0.8号程度を使ったライト目なゲームがターゲットのリールだと思いますので、このリールのキャラクターを理解して使う範疇では全くパワー感、剛性感とも不足を感じることはなさそうです。
魚とのファイト時でも、ボディやローターの剛性不足を感じることは全くありません。 |
スプールとローターこそC2000番サイズ同等ですが、ことボディとギアに関してはワンランク上の2500(=C3000)サイズ同等のものが使われているため、実用面でパワーや剛性に不足を感じることはまずない機種と言えるでしょう。
そもそもC2500SXGのドラグパーツは1000番やC2000番相当、実用ドラグ力2kg、最大3kgのモデルなので、剛性不足云々を感じるより前に確実にドラグが滑ってますね。
ちなみに、このヴァンキッシュのドライブギアはツインパワーと同じもので、ステラに比べると3割ほど価格が安いものが使用されています。
設計は同じで違いはバリアギア(特殊表面加工)だけかと思っていましたが、結構なコスト差ですよね。
新品同士の比較では、僅かにステラの方が巻きに硬質感を感じさせるかなという程度の差でしかありませんが、もしかしたら長期使用し続けた際の耐久性などで大きく差が出てくるかもしれませんね。
ヴァンキッシュC2500SXGのインプレまとめ
今回は'20年に登場したヴァンキッシュ追加機種、C2500SXGについてのファーストインプレッションをお届けしましたが、いかがでしたでしょうか。
ヴァンキッシュ、よくも悪くもステラと比較されてしまう気の毒なリールですが、誰が言い出したかシマノの2大フラグシップみたいな言われ方をするから比較されちゃうのであって、実際にフィールドで使ってみると、そもそもステラとは全然方向性が違うリールですよね。
車に例えるなら、ステラはロールスロイスのファントムで、一方ヴァンキッシュの方はマクラーレンの765LTみたいな感じでしょうか。
ちょうど価格比もステラとヴァンキの比率と同じくらいですし(笑)
よく、ヴァンキッシュはステラに比べてどうだこうだと言われますが、ファントムと765LTを同じ土俵で比較しようとすること自体がナンセンス。
それぞれに個性があり良さがあるのです。
というわけでヴァンキッシュ、ステラとは別物リールだという前提で、個人的におススメなのはステラの予備としてこのリールを持つ事。
C2500サイズのリールは1000、C2000、C2500用のスプールと広い互換性があります。もちろん、ステラとヴァンキッシュ間の互換性もあり。 |
私自身、息子からステラを借りられるときは借りて使っていますが、普段使いはあくまでヴァンキッシュの方。
こんな風にたまにリールを変えてみると、同じ釣りをしていても気分転換にもなるし、それぞれのリールの個性もより見えてきて、使い分け自体楽しめるようにもなります。
両者は耐久性の違いからメンテナンスサイクルもおそらく変わってくるハズなので、片方が入院中はもう片方に活躍してもらうっていう運用もいいのではないでしょうか。
だいいち、車の例えで言えば、自宅にロールスロイスを2台持ってても面白くないですよね(笑)。違うタイプがもう一台あるから楽しいのです。
左がステキッシュで右がヴァンテラ(笑)意外とこの組み合わせも似合いますよね~。 |
そういうわけで、ヴァンキッシュ、以下のような方に特にオススメです。
- 自重の軽さにこだわる人
- 巻きの軽さ、特に初動の軽さにこだわる人
- ライトゲーム、フィネスタックル志向の人
- 軽量ロッドを愛用する人
- ただ巻きだけではなくジャークやトゥイッチといった動の釣りをよくする人
- 他とは使用感の異なるリールを使ってみたい人
- 既にステラまたはツインパワーをお持ちで、予備リールをお考えの人
通常モデルは'19年登場、C2500SXG含む一部機種は'20年登場なので、'21年現在、モデルライフサイクルもまだまだ残りがあるリール。
今買っても決して損ではないと思いますので、気になる方は是非早く手に取ってみてください。
頭でっかちにステラとスペック比較さえしなければ、十分すぎるくらい素晴らしいリールだと思います。
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