みなさまこんにちは。
最近再び革靴に対する興味が復活してきて、昔履いてた革靴をこつこつお手入れとかリペアとかしています。
で、今回は、深く表皮に傷がついてしまった革靴の修理方法として、初心者でも簡単にプロフェッショナル並みの仕上がりを目指せる、コロンブスのアドベースを使った補修方法とそのコツをご紹介したいと思います。
修理対象の靴とその症状
今回事例として取り上げるのは、GIORGIO ARMANIのホールカット。
アルマーニの靴のサプライヤーがどこかは知りませんが、デザイナーものなのでそこまで高級品ではありません。
中には、見た目重視でセメンテッドの靴もありますし。
しかし、今回の例の靴は、マッケイ製法ながらヒドゥン・チャネルなのかオーバー・ソールなのか、底にステッチが出てこない凝った製法で、かつ非常に軽量な仕上がりのそこそこ上質な部類のもの。
使用されている革も繊細で高級感のあるものです。
ホールカットということで、ビジネスでもセレモニーでも、特別な時にしか履かないようにして結構丁寧に扱っていたつもりでしたが、うっかりトゥの部分にざっくり深い傷を作ってしまいました。
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よく見るとトゥ部分に結構深い傷が。 |
今回は、この傷を直していきたいと思います。
傷を埋める「コロンブス アドベース」とは
このような傷ができてしまった靴を修理する際、まず傷口を平坦にする必要があります。
そこで登場するのがコロンブスの「アドベース」という商品。
いわば「レザーパテ」みたいなもんでしょうか。
革の表面にできた傷や凹凸をこのアイテムで埋めていくのですが、完全に硬化した後も革靴固有の屈曲性や柔軟性を損なうことなく、追従性もあるため補修あとが割れたりヒビになったりしないのが特徴です。
そのため、今回のようなしなやかで肌理の細かいレザーを使った革靴の修理にも適していますね。
アドベースによる具体的な修理方法
1.まずは、靴の汚れやほこりを丁寧に取り除きます。
リムーバーとかで余分なクリームなども除去した上で、乾燥させた方が、アドベースのノリが良く、施工しやすいでしょう。
2.次は、以下写真の通り、傷の周りも含めて、少し「盛る」くらいの感覚で、アドベースを載せて穴を埋めていきます。
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傷口に盛る感じでアドベースを埋めていきます。 |
補修したい傷穴をピンポイントで埋めることを目指すのではなく、表面が平坦になるように傷口周りも含めて均等に広げるのがよいです。
綿棒やへらなどがあると作業性が良くなりそうですね。
3.傷口に塗り終わったら、次は半乾燥させますが、傷口の深さ、大きさによるものの、半乾燥まではおおむね室温で2~3時間要します。
この工程はドライヤーなどを用いて時間短縮してもいいでしょう。
目安として、塗ったアドベースが指先などに着かない状態になったら半乾燥できたといえるでしょう。
4.半乾燥まで出来たら、次は湿った布で傷口周りに広くついたアドベースをふき取ります。
この作業が終わったら室温で概ね24時間程度かけて本乾燥します。
5.本乾燥したアドベースはしっかり硬くなっているので、次は400番サンドペーパーで表面を軽くならして平坦にしていきます。
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サンドペーパーでならしたあと。表皮はささくれますが、あとの工程できれいに磨くことで直していきます。 |
この時、力を入れすぎると硬化したアドベースが取れてしまうこともあるため、軽く指先を当ててこするくらいの感じが良いと思います。
高級革靴の表面にサンドペーパーを掛けることに躊躇されることも多いと思いますが、削り跡はこの後しっかりクリームをなじませて磨くことで消すことができますのでご安心を。
6.ここまで終わったら、以下のアドカラーや、一般的な皮革製品の補色剤を用いて、サンドペーパーによって削った部分もろとも、傷口のアドベースに補色していきます。
私は以下記事で書いたサフィールレノベイティングカラーで補色しました。
7.その後、普段のお手入れ通り磨いてあげることで、完全に傷口がわからないレベルまで補修できるという次第です。
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磨き終えた後。もはやどこに傷があったかわかりません。 |
まとめ
さて今回は、革靴の傷修理の例として、コロンブスのレザーパテ、アドベースを用いた修理方法をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
私自身、この修理をするのは今回がまだ2回目で、いうなれば修理初心者ですが、写真で見ての通り、ぱっと見どこに傷があったかわからないレベルまで補修することができましたね。
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拡大してみないと傷口がどこかわかりません。 |
今回題材にしたGIORGIO ARMANIのホールカットは、しなやかで繊細な素材とホールカットというミニマムデザインにより、非常に難易度の高そうな修理となりましたが、各工程を丁寧に作業すれば、私のような初心者でも簡単にクオリティの高い補修が可能だということがわかりました。
本当にプロ並みの仕上がりかどうかはわかりませんが、掛かった費用はたった数百円。
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満足な仕上がり! |
なにより、昔愛用していた靴が復活してくれて、非常に達成感があり気持ちの良い作業でした。
ちなみに、以下の動画で今回の作業と同様の作業手順を説明してくれていますので、ご参考まで。
皆様もぜひ、靴箱に眠っている革靴があれば、セルフリペアにトライしてみてください。
ということで、今回のお話はおしまい。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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