みなさまこんにちは!
秋シーズン、水温も下がってウェーディングするには気持ちいいシーズンになりましたね。
しかしこの時期、ひさびさに引っ張り出してきたウェーダーに漏水が見つかることがしばしばありますよね。
今回は防水透湿ウェーダーのリペア方法についてのお話です。 |
今回は、そんなウェーダーで水漏れが発生した場合の修理方法についての解説をお送りしたいと思います。
ウェーダーの漏水の原因とは?
水中に立ちこむことを前提として完全防水となっているウェーダーですが、どういう理由で水漏れが起きるのでしょうか?
以下にウェーダーでよくみられる漏水の原因を記します。
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外的要因によるピンホール
藪漕ぎなどをした場合や、地面に座った場合など、鋭いものにウェーダーが触れて穴が開いてしまう場合があります。
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防水透湿素材の劣化
ゴアテックスなどごく一部の素材を除いて、ウェーダーの防水透湿素材のほとんどはポリウレタン系樹脂を採用していますが、この素材は乾燥時でも空気中の水分と反応して加水分解されます。
この症状が出た場合は、ピンホールなど目立った漏水要因が見当たらなくても防水透湿素材の裏面からジワリと水が染みてきます。
こうなると補修では対応が難しく、買い替え時期だと諦めた方が良さそうですね。
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シームテープ・縫製箇所からの水漏れ
防水透湿ウェーダーの漏水で多いパターンがコレ。縫製箇所の上から防水加工しているシームテープ部分、ブーツの接合部分など、ウェーダーの使用に伴う劣化で、生地に負担が掛かりがちな箇所から漏水することは多いです。
さまざまな原因が考えられますが、ブーツ接合部や縫製部分が高い頻度で折り曲げられたり、座ったりしゃがんだりしたときに該当部分に強く張力が掛かるため裂けるなどの事例が多いような気がします。
だいたいこんな感じですが、たとえ針の先端くらいの微細な穴であっても、しばらく浸かっていると内側にじんわりと浸みてくるからたまったもんではありませんね。
ウェーダーの漏水修理に必要なもの
さて、以下では上記のとおりウェーダーに漏水症状がみられた際に、どのように修理していけばよいか解説したいと思いますが、まずは修理に必要なアイテムをご紹介します。
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リペアパッチ
まず必要となるのは、漏水箇所を面で塞ぐためのリペアパッチ。
多様なアイテムがありますが、おススメなのは、以下のような熱圧着式のリペアパッチです。
ウェーダーやレインギアーの補修に使えます。136mm×200mm角の1枚の大判リペアシートが入っています。アイロンで熱圧着すれば簡単に補修できます。おススメな理由は、熱を加えることで簡単ながら確実に接着面を塞いでくれることと、万が一失敗しても熱を加えることでパッチをはがしてやり直しが効くことです。
ウェーダー専用のグルー(接着剤)を使った修理方法もありますが、補修失敗時にやり直しが効かないこと、また、ウェーダー内でウエアに干渉してしまうこと、グルー製品の多くは冷蔵保存が必要になることなど、管理に手間がかかることもありメリットは少なくおススメできません。
以下のように、ワンセットであらゆるウェーダー修理に対応できる補修キットも販売されています。私もコレを愛用していますが、細かな補修作業マニュアルも付属しており、補修初心者から上級者まで、かなりおススメです。
LPフェルトグルー、 シーリングテープ50cm、 CRリペアパッチセット、すべてをパックしたリペアコンプリートセットです。このセットで透湿ウエーダー、クロロプレンウエーダー、両方の修理に対応します。イラスト付の『ウエーダーの修理方法』 が付属します。 -
アイロン
リペアパッチを熱圧着するためにアイロンが必要です。
ご家庭用のものを流用すればよいと思いますが、私はウェーダー修理用に小型のものを使用しています。
補修位置次第でアイロン台での作業は困難となるため、アイロン台替わりになるハンドミットがあると、細かな作業がやりやすいのでおススメです。
手にはめて、衣類をハンガーに掛けたまま手軽にアイロンをかけられます。セラミックス加工生地を採用しており、アルミ加工生地と比べ、衣類に触れるアイロングッズの表面温度を約40%高くできます。その他、作業時にパッチの上から当てるためのあて布も必要になります。
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パーツクリーナー
ウェーダー補修をする前に、かならず必要となるのが漏水箇所の特定。
水を使って漏水箇所を特定する作業は非常に骨が折れますが、パーツクリーナーがあればものの数分でいとも簡単に漏水箇所を特定できます。
使い方の詳細は後述しますが、プラスチックやゴムを浸食しないタイプのものが良いでしょう。
たっぷり利用することが漏水箇所特定の肝となるため、コスパも考えて格安クリーナーを愛用しています。
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ハサミ
リペアパッチを補修箇所に合わせてカットするために使います。
細かい作業がしやすいものであれば、ご家庭用のもので十分です。
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マジックなど油性ペン
補修箇所をマーキングする目的で使用します。
これも、ご家庭用のもので十分です。
以上が防水透湿ウェーダー修理に必要なアイテムです。
リペアパッチ以外は、普段ご家庭にあるものを使えるので、出費はほとんど掛からないですね。
ウエーダーの補修手順
さて以下では具体的な補修手順を記します。
漏水箇所の特定
ウェーダーの補修において、最初の作業であり、また最も重要となる作業でもあるのが、漏水箇所の特定作業。
一般的に透湿素材であれ非透湿素材であれ、ウェーダーでは内部の温度が水温よりも高くなるため、長時間浸かっていると外部と内部の温度・湿度の差から、ウェーダー内側表面に結露が生じて、しっとり濡れているかのような状態になります。
これを漏水と誤解される方もいらっしゃいますが、実際に漏水していれば、例えば履いていたパンツや靴下が明確に、かつ部分的にしっかり濡れるので、その濡れ方で識別するしかないでしょう。
例えばパンツの股下が広範囲に濡れているときは、また部分の接合部、ひざ下だけが濡れているときはひざ下部分、靴下だけが濡れている場合はウェーダーとブーツの接合部など、おおよそのアタリを付けて、具体的に特定作業に入ります。
その作業の方法はカンタン。
ウェーダーの内外が乾燥した状態で、この辺りが漏水箇所として怪しいかなと思う箇所に、ウェーダー裏面(内側)からパーツクリーナーをたっぷりと吹きかけます。
裏面にしっかりパーツクリーナーを吹きかけて、表面を観察すると、写真のように染みてくる中央部分がピンホールのありかです。このように目視で簡単に漏水箇所を特定できるので、パーツクリーナーは便利です。 |
そして、ウェーダーの表面(外側)を観察すると、もしピンホールなどが開いていた場合、吹きかけたパーツクリーナーが染みているのが目視確認できます。
その場所を外側からマジックでマーキングして、そのマークを頼りに、パーツクリーナーが乾いた後で内側もマーキングします。
染みてきた箇所にマジックでマーキングして、ここをターゲットに作業をします。 |
正確に漏水箇所を特定できれば、修理は成功したも同然です。
リペアパッチの貼り付け
漏水箇所に貼り付けるために、リペアパッチを適切なサイズにカッティングします。
シーム部分などが関係しない通常のピンホールであれば、大きさは直径2㎝程度の円形で十分です。
今回はピンホールだけでなく、生地の折れ曲がり部分に沿って漏水懸念箇所が見つかったので、ちょっと長めにパッチを作りました。 |
キレイな円形にカットする必要はありませんが、あとから剥がれてくるなどのトラブルを避けるため、角のない形状にしておくのが、耐久性の面でもおススメです。
リペアパッチは、先ほどマジックでマーキングした目印を頼りに、アイロンの熱でしっかりと圧着させます。
防水透湿ウェーダーの修理は、裏側から行うのが基本ですので、まず裏側からパッチを当てて、念には念を入れたいという場合には、あとから外側にもパッチを当てるのが良いでしょう。
裏側(ウェーダーの表生地側)にハンディミトンを当てて、あて布の上からアイロンで加熱してパッチを完全に圧着させます。 |
この作業の時、リペアパッチとアイロンの間にあて布をするのを忘れずに。
必要な作業はたったこれだけ、所要時間30分も掛けずに、完全にウェーダーの漏水を修理することができます。
仕上がりはこんな感じ。熱で溶けた接着成分でしっかりと穴がふさがりますので、もう漏水の心配はありません。 |
防水ウェーダーの水漏れ補修について まとめ
さて今回は、ウェーディング好きな方には欠かせないアイテム、防水透湿ウェーダーの水漏れをD.I.Yで修理する方法をご説明しましたが、いかがでしたでしょうか?
私は10年以上、5社以上のメーカーの防水透湿ウェーダーを使用してきましたが、大自然の中で使われるウェーダーはどうしても使用に伴う劣化を避けることはできず、ちょっとした水漏れが発生することは当たり前です。
もちろんアフターサービスの充実したメーカーであれば、一定期間内では保証が効く場合もありますが、そうではない場合、往々にしてメーカー修理は高額になりがちで、症状によっては一万円単位の請求額が来ることも当たり前の世界です。
しかし、以下の記事にも書いた通り、ゴアテックスやeVent以外の防水透湿素材は、その素材特性上どうしても経年劣化による加水分解を避けることができず、使用状況やお手入れ、保管の状態にもよりますが、週末アングラーが毎週使用するペースであれば、概ね2~4年くらいで寿命が来る感覚です。
そう考えると、特に使い古したウェーダーの場合、高額なメーカー修理で延命してもどこか別の位置で漏水などのトラブルが発生する可能性もあるため、できれば修理そのものにあまりお金はかけたくないですよね。
そういう方には、この記事でご紹介したD.I.Y修理が断然おススメ。
メーカー修理でも多くの場合は同様の内容の修理となるため、丁寧に作業すれば修理後のクオリティも同レベルになります。
今回修理したウェーダーはリアスのリミテッドサーフウェーダー。念には念を入れて、ピンホール箇所の表面にもパッチを貼っています。見た目不細工ですが、コレで漏水の心配はありません。 |
ということで、ウェーダーの漏水にお悩みの方にこの記事がご参考になれば幸いです。
なお、今回は一般的な防水透湿素材のウェーダーにおける修理方法を解説しましたが、クロロプレンウェーダーやソックスウェーダーのクロロプレン部分などを修理する際には、また別の重要な考慮点があります。
それがどういうものかは、以下の過去記事で解説していますので、もしクロロプレン素材の補修をお考えの方は、是非ご覧になってみてください。
ということで、今回のお話はおしまい。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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