みなさまこんにちは。
今回もライトゲーム、メバリングネタです。
先日、シマノから2021年秋に登場したライトゲーム用のモバイルロッドである、ソアレ エクスチューン MB S76UL-Sを購入して、その後暫く実釣でも使用してみましたので、今回はこのロッドのファーストインプレッション記事をお届けしたいと思います。
購入の経緯
以前、以下記事で書いた通り、私のメバリングのメインロッドとして使ってきたソアレ エクスチューン S76UL-Tが検査の為しばらく入院することになりました。
一応メバルプラッギングでも使えるロッドとしては、予備でヤマガブランクスのブルーカレント62・67・71・83のTZ/NANO、シマノのワールドシャウラテクニカルエディションS66UL-2/F、同シマノのソアレ エクスチューンS610SUL-S、ソアレXR S80UL+-Sなども持っているのですが、83を除くブルカレTZ/NANO全機種とワーシャTE、エクスチューンS610は、この時期オープンエリアで沖の潮目を狙ってプラグを遠投する釣りには若干レングス不足。
一方ソアレXR S80UL+-Sはレングスは十分なのですが、やはり若干ロッドのパワーがありすぎるため、中小型メバルが釣れた時は釣趣の点では若干イマイチなのと、掛け調子寄りの若干ハリの強いティップ故に、積極的に掛けに行かねばならず、回遊待ちのお気楽メバリングではキャスト面も含めて使っていて若干疲れるところも。
ブルーカレント83TZ/NANOはちょっとレングスとエンドグリップが長すぎて、ライトゲームの繊細さと釣趣の面では面白味に欠けますね。
この時期、アミパターンの釣りになることも多く、適度なレングスで繊細なアタリも乗せられる調子の方が使いやすいんですよね~。
そういうわけで、白羽の矢が立ったのが、遠近両用で使用できる76レングスで、乗せ調子ソリッドティップを持つロッド、ソアレ エクスチューン MB S76UL-S。
単に入院中の代打というだけでなく、今まで乗せ調子のメバリングロッドを持っていなかったこともあり、アミパターンやジグ単遠投用としての活躍も期待して、購入することにしました。
ソアレ エクスチューン MB S76UL-S とは
シマノライトゲームロッドで長年最上位機種であったソアレ エクスチューン シリーズは、2019年にソアレ リミテッドが登場したことで、フラグシップの地位こそリミテッドに譲ったものの、リミテッドは68と73-76という限られたラインナップしか有しないシリーズであるため、実質的には今もハイエンドモデルの地位にあるフルラインナップ揃ったシリーズです。
2020年モデルからは、従来の同シリーズとは異なり、アジング、メバリング間の垣根を取り払い、個々アイテムの特性によって好きに使い分けてくださいというスタンスに変わりました。
そんなソアレ エクスチューンに2021年秋に新たに登場したラインナップが、マルチピースのモバイルロッドタイプであるソアレ エクスチューン MB シリーズ。
ソアレ エクスチューン MB S76UL-Sは5本継ぎのパックロッドです。 |
どんなシリーズなのか、シマノWebサイトより解説を引用しましょう。
本気過ぎるパック&トラベルロッド。
持ち運びしやすいコンパクトな仕舞寸法でありつつ、妥協なく性能を追い求めたソアレ エクスチューンMB。軽くて強いブランクスを実現するスパイラルXコアを基軸に、さらなる軽量&高感度化をもたらすカーボンモノコックグリップ、トラブルを激減させ飛距離の向上に貢献するXガイドなど、シマノ独自のテクノロジーによって基本性能が飛躍的に向上しました。また継目の多さを感じさせない美しい曲がりも達成しました。モバイルロッドにありがちな、重さ・ダルさ・不快な曲がり・強度の低下を打破。極みを追い求めるアングラーに本物の1本をお届けします。
(シマノ ソアレ エクスチューンMB 製品Webサイトより引用)
中でも、今回ご紹介するS76UL-Sは、「喰わせのオールラウンダー」と表現される一本。
このロッドのスペックは、以下の通りです。
品番 S76UL-S 全長(ft.) 7'6" 全長(m) 2.29 継ぎ方式 並継 継数(本) 5 仕舞寸法(cm) 51 自重(g) 72 先径(mm) 0.8 ルアーウェイト(g) 0.5~5 適合ラインナイロン・フロロ(lb) 1~3 適合ラインPE(号) 0.1~0.6 グリップタイプ カーボンモノコック リールシート位置(mm) 295 リールシートタイプ UPLOCK カーボン含有率(%) 99 本体価格(円) 53,000円 商品コード 303288
(シマノ ソアレ エクスチューンMB 製品Webサイトより引用)
また、ソアレ エクスチューン MB S76UL-Sに採用されているロッドテクノロジーは以下の通りです。
- スパイラルXコア
- ハイパワーX
- Xガイド(トップ~中間バット)
- チタンフレームSiCガイド(Xガイドを除く)
- チタンフレームガイド
- ブリッジライクシート
- カーボンモノコックグリップ
- タフテック∞
- 並継5ピース
手にした印象
実はこのロッド、購入前に釣具店でさんざん触り倒していましたので、その時の印象も踏まえて記したいと思います。
前述の通り、私はメバリングにはこれまでソアレ エクスチューン S76UL-Tという、2ピースエクスチューンのチューブラーティップモデルを愛用していました。
それに対してS76UL-Sという、わずか一文字違い、ティップタイプがソリッドになっただけで、スペック的にも非常に似通っているこのロッドは、中身はたいして違わないだろうと想像していましたが、実物を手に取って振ってみると、S76UL-Tとは似て非なる全く別物のロッドだなということがすぐにわかりました。
S76UL-Tとの大きな違いは、テイップからベリーに掛けての柔らかさとしなやかさ。
乗せ調子のロッドといえば、昨年以下のソアレ エクスチューンS58SUL-Sというロッドを購入しましたが、ティップ部分はこのロッドとほぼ同様ながら、このS76UL-Sは、5ピースの#2にかけてが驚くほど繊細でしなやかなのです。
振った時の感覚はまるで鞭のよう。
上がソアレ エクスチューン
S76UL-T、下がS76UL-Sのティップ付近。Sの方がやはり繊細な印象ですね。 |
これは確かにルアーの食い込みはめちゃくちゃ良さそうで、吸い込み系のバイトが多いアミパターンのメバリングや、ジグ単での釣りには非常にマッチしていそうだと、大きく印象付けられたところでした。
S76UL-Tはメバリングロッドとしては非常に優秀で完全無欠に近いロッドですが、性能という意味ではチューブラー故にアタリの小さい時に若干弾き気味になることもあるため、そういうチューブラーの弱点を補ってくれるところかも知れませんね。
ディティール
その他ディティールに目をやると、カーボンモノコックグリップやブリッジライクシート、X-ガイドなど、他の'20エクスチューン、'21エクスチューンMBに共通するパーツやデザインが採用されており、特に目新しいところはありません。
しかしよくよく見てみると、やはりソアレ エクスチューンMBの方は、2ピースモデルに比べると継数が多くなるため、元径などは若干太目です。
ただ、あくまでもライトゲームロッドらしいシャープさはあるため、テンションが下がるほど明確に太さを感じさせるものではありません。
中央の2本、左がMBのS76UL-S、右が2ピースのS76UL-Tです。 |
同じモバイルロッドシリーズであるエクスセンスMBなどは、2ピースのエクスセンスシリーズと比べると明らかに元径が太く感じられそれがとても気になりましたが、ソアレエクスチューンMBに関してはそこまで違和感は感じられませんね。
もう一つ気づいたのが、カーボンテープの巻きのピッチの違い。
ハイパワーXのカーボンテープが、2ピースモデルのエクスチューンより、モバイルモデルの方が明らかに小さい傾斜角で、細かいピッチで巻かれています。
同じモバイルタイプのS510UL+-Sでもこのピッチは同じで、他の2ピースモデルより明らかに密巻きにされているので、これはモバイルタイプ独自に最適化された仕様なのでしょう。
モバイルということで、より強度面に配慮した上で、2ピースタイプとは作りを変えているのかもしれませんね。
キャストフィール
ソアレ エクスチューン MB S76UL-S は、タフテック∞のソリッドティップを採用したモデルなので、当然、重めのルアーのキャスタビリティや遠投性能は、2ピースチューブラータイプのS76UL-Tに比べると劣ります。
カタログスペックでも、最大ルアーウエイトがこのSタイプの方が1g低く設定されています。
使い始めた直後は、このしなやかなソリッドティップの感覚に慣れることが出来ず、なかなかうまくキャストできませんでしたが、数時間も投げているとだんだん感覚もわかってきて、S76UL-Tに比べて遜色ない飛距離を出せるようになりました。
S76UL-Sはやはりティップから#2にかけてが非常にしなやかなので、 この部分を不必要にバタつかせないようにキャストする必要がありますが、そのコツを掴めば、適合ルアーウエイトを大きく超える7.8gのクロストリガーや、7.6gのマニック75なども気持ちよくフルキャストでき、沖の潮目などを狙うことも十分可能ですね。
全体的にしなやかなロッドなので、むやみにピシっと鋭く振るのではなく、しっかりウエイトを乗せてやるような感覚でキャストすれば、心地よいキャストフィールと射出感で十分な飛距離が期待できるロッドです。
5~6gといった重量のあるプラグやジグなどでは、S76UL-Tの方が飛びは良いですが、特に0.2号クラスの細糸+アイマのコレット45のような2g台のマイクロプラグ、または0.5~1.5g程度のジグヘッドといった組み合わせでは、S76UL-Tでキャストするよりも飛距離を稼げていると思います。
チューブラータイプのS76UL-Tと比較すると、より軽量ルアーのキャスタビリティやキャストフィールに優れたロッドといえそうですね。
操作性と感度
ソアレエクスチューンMB S76UL-Sは、ロッド自体のキャラクターはS76UL-Tとは全く異なるものですが、レングスやグリップ長など各部のディメンションはほぼ同一、ガイドセッティングも非常に似ています。
そのため、取り回しなどの操作性はほぼ同一。
ただし、上述の通りティップも含めたロッドの調子は大きく異なるものなので、ルアーに対する操作性は全く異なります。
プラッギングで積極的に動かしてアクションをつけるような釣りは苦手とするところで、このような使用方法では明らかにチューブラータイプの方が上ですね。
バイブレーションやメタルジグなどの操作や、重量あるフロートリグ、キャロライナリグなどの操作性も、圧倒的にS76UL-Tの方が上で、S76UL-Sの方はどちらかというとただ巻き中心で流れを感じるような横の釣りに向いています。
あと、オープンエリアでフルキャストして沖の潮の流れにルアーを乗せるような釣り方も、ティップにハリのあるS76UL-Tの方がより得意とするところです。
感度の面でも、やはりチューブラーであるS76UL-Tとの違いは大きく、単純に魚からのアタリを響かせる反響感度という意味では、やはりS76UL-Tの方が圧倒的に上です。
しなやかなソリッドティップのS76UL-Sの方は、反響感度面ではチューブラーに比べて劣りますが、その分「カカッ」とか「モゾッ」といった、プランクトン類を捕食するメバルにありがちな微かな触れるような、アタリにならないアタリを感じ取る能力が秀逸。
要は、アタリや変化を感じ取り方がチューブラーとは異なり、振動を伝達するというよりも水中の質感を伝達する能力に優れているといった感じですかね。
このフィーリングは、アジング寄りのモデルであるソアレ エクスチューン S58SUL-Sのインプレッションで書いたことと同じなので、宜しければご覧になってみてください。
アクションとパワー
ソアレエクスチューンMB S76UL-Sは、繊細なソリッドティップを持つロッドで、モバイル故にそのしなやかなソリッドティップ部分の長さが通常のソリッドティップロッドよりも長いため、軽負荷時にはそのティップから#2部分がまず反応する先調子寄りのアクションです。
ティップはシマノライトゲームロッドでも最弱の部類。 |
わずかな荷重変化でもスッと#2まで入り込みます。JHなどの食い込みは間違いなく良さげですね。 |
しかし、中負荷から高負荷に掛けては、全体的に大きく曲がりこむレギュラーアクション。
中負荷ではメバリングロッドらしい曲がりに変化。 |
魚を掛けるまでは先調子、掛かってからは本調子といった感じでしょうか。
S76UL-Tに比べると、普通に使用している分にはややアンダーパワーで、やはり繊細さを感じさせるしなやかさが目立つロッドなので、小型のメバルやガシラを掛けた時にも大きく曲がって非常にやり取りが面白い竿です。
とても5ピースロッドとは思えない滑らかなベンドカーブです。バットはしっかりしていて、シーバスなど不意の大物が掛かった場合でも余裕が感じられ、安心感は大きいです。 |
しかし、上のペットボトルをリフトした時の曲がりの画像からもわかる通り、曲げ込んでいった時にはバット部分、特に#5はしっかり残るパワー感があり、深く曲げ込んだ時に沸き上がるリフティングパワーはかなり強く感じられるため、大型のチヌやシーバスといったゲストフィッシュが掛かった時にもコントロール性はよく、安心してやり取りできると思います。
ソアレエクスチューンMB S510UL+-Sを使った時にも感じましたが、モバイルタイプのエクスチューンはしなやかに曲がるタイプながら、若干粘り調子のテイストを感じさせるロッドだと思いますので、使っていて妙な安心感がありますね。
いずれにしても、小型メバルから大型メバルまで、曲がりとやり取りを楽しむには最高のロッドだと思います。
ソアレ エクスチューン MB S76UL-S インプレッションまとめ
さて今回はシマノの’21ソアレ エクスチューン MB S76UL-Sについてのインプレをお送りしましたが、いかがでしたでしょうか?
個人的に乗せ調子のソリッドティップは、そのキャストフィールからどうしても好きになれれず、これまで長年敬遠していたのですが、このロッド、いざ使ってみると、「これじゃなくてはならない」と思わせる要素がいっぱいの非常に魅力的なロッドでした。
S76UL-Tも無事退院してきたのですが、使っていて楽しいし、やはりソフトソリッド故の食い込みの良さが抜群ということもあり、最近のメバリング釣行は積極的にこちらのS76UL-Sの方ばかりを使ってしまってますね。
特にジグ単における使用感は最高のロッドだと感じています。
すっかり、乗せ調子ロッドの虜になってしまいましたw
しかし、冷静に考えると、やはり性格の異なるS76UL-Tとは、適したシチュエーションなどが異なるため、それに合わせて、ご自身の釣りにマッチした方を選ぶのが良いかと思います。
実例を挙げると、ソアレ エクスチューン MB S76UL-Sは、以下のような釣りに関してはオールラウンダー的に活躍してくれると思います。
- ジグ単やプラグを中心とした「巻き」の釣り
- 軽量ルアー中心の釣り
- バチパターン、アミパターンなど、乗せ調子が向いた釣り、アタリが渋い時、小さい時
- PE0.1~0.25号クラスやエステル0.3号クラスの、細いラインを使用する釣り
- 上のレンジやシャローエリア中心の釣り
総じて、繊細さが要求されるシーン、または繊細さを楽しみたいシーンに向いていると言えそうですね。
反対に、以下のような釣りは比較するとちょっと苦手なので、S76UL-Tの出番かと思います。
- 小型メタルジグやバイブレーションも登場する釣り
- デイゲームなど、積極的なアクションを加える釣り
- フロートリグ、スプリットリグなど中間リグも使いうる釣り
- PE0.4号以上を使う釣り
- 遠距離、ディープエリアも攻める釣り
上の動画では、S76UL-Sのソリッドの特性を活かして、際狙いの釣りをやっていますね。
ソリッドとチューブラー、それぞれの特性を見極めて使い分けるのがよさそうですね。
こういう指向性みたいなものはあるものの、ソアレ エクスチューン MB S76UL-S はモバイルロッドながら2ピースに全く引けを取ることがない抜群の完成度で、個人的にはもうこれ以上望むところはないというくらい、購入後の満足度は非常に高いロッドです。
敢えての不満点を無理やり挙げるとしたら、5ピースという奇数継ぎの竿であるため、車載時などに2ピース化できないところが残念といえば残念かなというくらいでしょうか。
あとは、ソアレ エクスチューンシリーズ共通の問題である、使用するグローブの材質を選ぶところ。
感度を優先して、ブリッジライクシートはむき出しのCi4+素材に塗装を施したものであるため、グローブの種類によっては滑りがちなんですよね。
そういう気になる点が無いわけではないですが、そういうことがどうでもよく思えるくらい、本当にこのロッドは購入して大正解でした。
自信をもっておススメできる内容の竿だと思いますので、気になっておられる方は、是非手に取ってみてください。
このロッドを用いた釣行記を以下に書いていますので、こちらも宜しければご覧になってみてください。
その他のソアレ エクスチューン2ピースやMBのインプレ記事も書いています。宜しければご覧になってください。
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